
Domingo 記事
北海道白老町の「brew gallery」で開催中の展覧会『続・繩す』では、SFロボット風の土偶や独創的な火焔型土器など、「縄文」を遊び心たっぷりに表現した作品が大集合。展示の魅力はもちろん、クラフトビール醸造所併設のギャラリー、そして同時期に開催されている必見のアートイベントなどをご紹介します。
摩訶不思議な植物の火焔型土器に、SFロボット土偶も!

相川みつぐ《BATOU-CANON》 / 粘土 / 2025
北海道白老町にある「brew gallery」の扉を開けると目に入ってくるのは、縄文文化にはまった「Sirkio Project(シㇽキオプロジェクト)」作家メンバーの相川みつぐさん、大西洋さん、森迫暁夫さんが縄文人のものづくりを追体験しながら制作した土偶と土器。ひとつひとつの表情や造形が何ともユーモラスで、見ていると思わず笑みがこぼれます。

相川みつぐ《素飛ッ子 壱號》 / 粘土 / 2025

大西洋《火焔式土偶阿修羅》/ 粘土 / 2025

森迫暁夫《鬼瓦的守家守人土偶》 / 粘土 / 2025
「仮面の女神」の愛称を持つ国宝の土偶からSF的な空想を広げていった相川さんによる、SFロボットのような土偶。大西さんによる、未知の元素の組み合わせから生まれる植物を模った火焔型土器。ペットボトルやカタバミなどをモチーフにした森迫さんによる愛らしい動物のような土偶。三者三様の土偶や土器が、とにかくかわいい!!前から見るのと後ろから見るのとで印象が異なるので、360度いろいろな角度から楽しんでくださいね。
同じ「縄文」モチーフでも全く雰囲気の異なる3名の平面作品

奥に見える平面作品は25,000円〜
壁面を飾る平面作品からは、3名の異なる個性をダイレクトに感じられます。相川さんは宇宙人が地球に来て文明を授けたという「古代宇宙飛行士説」をもとに想像をふくらませた、縄文人のものづくり風景。大西さんは「まるで心臓のように見える」赤漆塗りの縄文土器からインスピレーションを受けた、生と死を象徴する二色づかいの作品。森迫さんは自身初の挑戦として、泥を用いたシルクスクリーンに加筆した作品を展示。
ユニークな創作「縄文」絵柄を楽しめるオリジナルグッズ

縄文Tシャツ(6,000円)。ハンドプリントによる受注生産のため、受け渡しは10月予定
「シㇽキオプロジェクト」とは、神話や歴史からその土地が持つ物語を掘り起こして創作した絵柄を作品化する「土地の物語生成計画」です。本展にも彼らが創作した縄文モチーフの絵柄を配したTシャツやバンダナ、缶バッジなどのオリジナルグッズが並びます。

縄文バンダナ(2,800円)
グッズのアートディレクションを手掛けたのは、今年から「シㇽキオプロジェクト」に仲間入りしたデザイナーの榊原直樹さん(彼が制作した土偶も1点だけ展示されていますよ)。他にも手軽な価格の作品も多く、どれか一つはお持ち帰りしたい気持ちが高まるはず!
全国的に珍しいビール醸造所併設のアートギャラリー「brew gallery」

提供されているクラフトビールは現在8種類(写真提供:brew gallery)
2024年にオープン以降、白老に縁の深い作家を中心に紹介してきた「brew gallery」は、全国的に見ても珍しいビール醸造所「The Old Grey Brewery」併設のアートギャラリー。2025年4月には、ギャラリーと同一空間内に直営店「TAP ROOM」をオープン。同醸造所で製造されたクラフトビールを楽しむことができるようになりました。

アートラベル缶。作者は左から大西洋さん、田中彰さん、相川みつぐさん(写真提供:brew gallery)
缶ビールにはレギュラーデザイン缶と、白老にゆかりのある作家の作品を採用したアートラベル缶があり、相川さんと大西さんの作品も採用されています。こちら展覧会の記念にいかがでしょうか。
ハシゴしたい!白老町内で同時期に開催されるアートイベント2選

最後に、『続・繩す』の会期中に、ぜひ合わせて楽しんでほしいアートイベントを紹介します。ひとつは、9月6日(土)〜9月14日(日)に開催される「飛生芸術祭」(本展は飛生芸術祭の連動企画)。飛生アートコミュニティーの⽊造校舎と周囲の森を会場に、多様な表現を楽しむことのできる年に⼀度のお祭りで、メインビジュアルは毎年相川さんが手がけています。
もうひとつは、9月19日(金)〜10月13日(月・祝)に開催される「ルーツ&アーツしらおい」。こちらは白老町内各所でアートを楽しめる文化のお祭りです。

『続・繩す』と合わせて、白老を満喫してくださいね。
写真撮影:寺島博美
※記載の金額は全て税込
飛生芸術祭 2025 連動企画展~Sirkio Project Chapter 7「続・繩す」Zoku-Tadasu
■開催日:2025年8月30日(土)~9月21日(日)
■開催時間:12:00〜18:00
■会場:brew gallery(北海道白老郡白老町大町3-4-11)
■入館料:無料
■休館日:月曜・火曜・水曜
『Sirkio Project Chapter 7「続・繩す」Zoku-Tadasu』の詳細や地図情報はこちら
飛生芸術祭2025「僕らは同じ夢をみるー」
■開催日:2025年9月6日(土)~14日(日)
■開催時間:10:00〜16:00
■会場:飛生アートコミュニティー(北海道白老郡白老町竹浦520)
■料金:ドネーション制(期間中会場に募金箱を設置)
『飛生芸術祭2025「僕らは同じ夢をみるー」』の詳細や地図情報はこちら
ルーツ&アーツしらおい
■開催日:2025年9月19日(金)~10月13日(月)
■開催時間:各会場の営業時間による
※木曜〜日曜+祝日 開催(月曜・火曜・水曜日定休)
※通年公開作品有。既存店舗会場の場合は営業に準ずる
■会場:白老町内各所
「ルーツ&アーツしらおい」の詳細はこちら
ライタープロフィール
ライター 松田 仁央
2007年から2010年まで「WG」というフリーペーパーを発行しつつ、2010年からフリーランスのライターとして活動。舞台芸術と美術が特に好きです。2002年頃からギャラリー等で絵画を中心に作品を購入しています。ここでのレポートが、誰かが「自分の一枚」に出会うきっかけになったら嬉しいです。
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