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こけしの古作と現代を見比べ!計1,700体のこけし展示
コレクション展示の一部
2026年3月、地下鉄西28丁目駅近くに移転オープンした雑貨店「おじいちゃんといぬ」。昨年「こけし工房tsuN'agaru」(青森県黒石市)から東北6県12系統、20工人以上の伝統こけしと創作こけし350体を迎え初開催された『こけしのせかい』が、今年は500体にパワーアップ。さらに店主・水口裕美さんのコレクション1,200体も初お披露目され、合計1,700体の圧倒的なボリュームに。時代を越えて受け継がれてきた古作と、現代のこけしを見比べながら楽しめる貴重な展示となっています。
「こけし工房tsuN'agaru」からの500体が並ぶエリア
ドアを開けてまず目に入るのは、「こけし工房tsuN'agaru」からやってきた、東北6県12系統、20工人以上の伝統こけしと創作こけし。
我妻昇さん(遠刈田系)による創作こけし
伝統的な技法を守りつつ現代的なアレンジが加えられた創作こけしは、つくり手のユーモアも感じられて思わず笑みが。500体ものこけしから、系統による違いはもちろん、親子の工人さんによる微妙な違いなど、こけしの「今」を体感できるはず。
1,200体あるコレクションの一部
ギャラリースペースでは、店主の水口さんがコレクターの方から譲り受けた1,200体を初お披露目。今は亡き工人さんの作品や、現在も制作を続けている工人さんの若き日の作品など、大変貴重なこけしも多数。これほど多種多様の形状や描彩のこけしを札幌で見る機会は相当レアなのでは?
表情、胴模様、形状...見どころが多すぎる伝統こけしの世界
伝統こけしにはさまざまな系統が存在。こちらは弥次郎系
こけしは東北地方の湯治場でお土産物として作られたのが始まりと言われており、伝統こけしには津軽系(青森県)、木地山系(秋田県)、南部系(岩手県)、山形系・肘折系・蔵王高湯系(山形県)、鳴子系・遠刈田系・弥治郎系・作並系(宮城県)、土湯系・中ノ沢系(福島県)があります。
目を引いた、小椋久太郎さん(木地山系)による蓋ものこけし
それぞれの産地に特徴的な模様や技法があり、師匠から弟子に型が継承され、つくり手は「工人」と呼ばれます。この「きちんと伝統が受け継がれている」ところが「こけしの魅力」と水口さん。「型が決まっていても、つくり手の個性が滲み出ているところが面白いんです」と話します。
個人的に有路静夫さんのこけしを購入。大満足!
90歳ぐらいまで絵付けをされる方もいるので、長いスパンで絵付けが変わっていく感じも楽しめるのだとか。上の写真の有路静夫さん(1937年生まれ)もその一人で、「昔と比べて線が変わり、歳を重ねたからこその味わいがあって素敵です」と水口さん。サインが年代ごとに異なる工人さんもいるそうで、奥が深い...!
2体のこけしとの出会いから、こけしラバーの道へ
水口さんが初めて購入したこけし
元々民芸品が好きだったと言う水口さん。こけしにハマるきっかけとなったのは、津軽系大鰐こけしとの出会いでした。「(写真のこけしが)ガラスケースに入っていて、こんな面白いこけしもあるんだ!と驚きました」。
この蓋ものこけしは、蓋を開けると中に小さな駒が入っている
水口さんが感じた驚きは、まさに本展に訪れた全員が感じることなのではないでしょうか。お客さんからはよく「自分に似たこけしを買ってしまう」と言われるそうで、水口さんも「おかっぱ頭のこけしをよく買ってしまいます」と笑います。
会場で目が合った達磨
小さいこけしは1,000円台からあり、気軽に買って飾りやすいところも魅力。水口さんが絵付けした「おじいちゃんといぬ」オリジナルの「シンコケシ」や、真狩村の「polku(ポルク)」による「こけしクッキー」もおすすめです。店内にはスムージーやコーヒーを提供する小さなカフェスペース「よりみち」もあるので、のんびり過ごしながら、水口さんとのこけし話をぜひ楽しんでいってくださいね。
こけしのせかい vol.2「伝統こけし工人作品展」
■開催日時:2026年4月23日(木)~6月3日(水)11:00~19:00
※日曜・月曜は定休。但し、5月31日は営業
■料金:入場無料
■会場:おじいちゃんといぬ(札幌市中央区北三条西28丁目1-22 2F)
『こけしのせかい vol.2「伝統こけし工人作品展」』の詳細や地図情報はこちら
ライタープロフィール
ライター 松田 仁央
2007年から2010年まで「WG」というフリーペーパーを発行しつつ、2010年からフリーランスのライターとして活動。舞台芸術と美術が特に好きです。2002年頃からギャラリー等で絵画を中心に作品を購入しています。ここでのレポートが、誰かが「自分の一枚」に出会うきっかけになったら嬉しいです。
