入口からの眺め。右手にカフェ、奥にメインのギャラリー空間が広がる

グループ展『描くことについて-What is drawing？-』を企画したのは、『美術手帖』等に執筆するアートライターで画家の柘植響さん。「この数年間に札幌市で観た現代美術の作家の中で、『描くこと』『表現すること』に独自の視点を持ち、観るたびに挑戦的なスタンスを持ち続ける作家に声をかけた」という本展に参加するのは、2022年に札幌文化奨励賞を受賞したことも記憶に新しい會田千夏さん、近年は「絵画を見る状況」を発展させたインスタレーション（※）形式で作品を発表する笠見康大さん、彫刻専攻というバックボーンを持ちながら卒業後2021年から絵画制作をスタートさせた本間洸多さん、そして柘植さんという面々。

※インスタレーション：オブジェや装置などを用いて空間全体を作品として構成する手法

12月14日に開催されたトークイベントの様子（写真：作家提供）

「本展の空間構成はフリージャズの即興演奏のように、相手のプレイに対しわざとフレーズをずらしてみせたり、リズムを変えてくるセッションをアートで試みたもので、 一発勝負のセッションで実験的なインスタレーション空間をつくりあげた」という展示。一体どのようなものなのでしょうか。

笠見さん、柘植さん、會田さんの作品が混在する展示（写真：作家提供）

メインギャラリーでまず目に入るのは、水槽や倒れた展示台、無造作に置かれた木材やブルーシートとともにある、作家名が併記されていない絵画。「なぜ画家のグループ展で水槽が…？」「これは誰が描いたのかな？」と、いろいろな「？」が浮かぶと思いますが、そんな中でもずっと眺めていられる一枚や、好奇心を刺激してやまない仕掛けがあるはず。まずは自身の感覚を頼りに、空間全体を楽しむことが本展のポイントです。

本間さんの作品群に柘植さんの作品が重なるエリア（写真：作家提供）

床には小さなドローイングが立てかけてあったり、ライティングレールにオブジェが引っかかっていたり、作品は会場の隅々に展示されているのでご注意を。作家の展示行為の痕跡をじっくり鑑賞した後は、作品名と作家名が記載された展示図を片手に、目の前の作品が誰のものなのか答え合わせをしていきましょう。

そこから浮かび上がる各作家の個性を感じたり、タイトルの意味を考えながら作品を観直してみたり。もちろん最初から展示図を見るのも良いのですが、個人的には一粒で二度美味しい「最初は展示図なし、次に展示図あり」の見方を推したいところ。

絵本がズラリと並ぶ山小屋風のカフェ

「絵本とカフェ ゴルディロックス」の店主は、本展の参加作家の一人である會田千夏さん。土日はご本人もお店に立つほか、土日限定で會田さんのお手製パンも販売しています。（自分が訪問した際はカヌレをお持ち帰りしましたが、こちらもおすすめ！）カフェの奥にも作品が展示されているので、そちらもお見逃しなく。鑑賞後は絵本をお供に、カフェでゆったりとした時間をお過ごしください！

描くことについて-What is drawing?-

■開催日時：2025年12月5日（金）～28日（日）の間の金曜・土曜・日曜 12:30～19:00（ラストオーダー18:30）
■料金：入場無料
■会場：絵本とカフェ ゴルディロックス（札幌市東区伏古10条4-6-9）
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