2026年、世界のトップライダーがニセコに集結 ライディングを自由に表現する『Swatch Nines Snow』アジア初開催レポート|Domingo

2026年、世界のトップライダーがニセコに集結 ライディングを自由に表現する『Swatch Nines Snow』アジア初開催レポート

2026年4月6日から11日の6日間、オールシーズン型国際的マウンテンリゾート『ニセコ東急グラン・ヒラフ』にて、アジア初の『Swatch Nines Snow』が開催されました。Swatch Ninesとは、従来の競技スポーツとは違う、新しいムーブメント。勝敗もなければ、ルールも存在しません。ノーストレス、競争なし、ゼッケンなし。世界を股にかけ活躍し続けてきたトップライダーたちが、純粋にライディングで自らを表現する場として誕生しました。

もっと自由で、創造的な滑りを表現できる場を作るために

Swatch Ninesのはじまりは、2008年。創始者のニコ・ザジェック氏はドイツ出身の元プロスキーヤーで、フリースキーシーンの発展に関わってきました。

ニコ・ザジェック

ニコ・ザジェック氏

長年競技の世界に身を置いていたザジェック氏は、オフの日に友人と雪山を滑るときの開放感、そしてその圧倒的な楽しさに「ライダーには、もっと自由で創造的な滑りを表現する場が必要だ」と感じたといいます。それがきっかけで、新しいトリックやスタイルに挑戦できるプロジェクト『Nine Knights』がスタートし、現在のSwatch Ninesへと発展していきました。

これまで、スイスなどの国際的スノーリゾートで開催されてきたSwatch Nines。2026年、アジア初開催の場としてニセコが選ばれた理由は、その良質な雪と圧倒的な積雪量です。

Swatch Nines

ザジェック氏のこだわりのひとつが、天然雪。ニセコでは大規模なコースを成立させるための豊富な雪が手に入り、その質も『JAPOW』と称されるほどの極上なパウダースノーです。加えて、日本のスノースポーツカルチャーが成熟していること、世界レベルのライダーが多数いることなどもきっかけとなりました。

何より素晴らしいのは、蝦夷富士と呼ばれる羊蹄山を背景にした景観。世界中のアスリート、オリンピアンが繰り出すワールドクラスのトリックは、オンラインを通じて世界中に発信されます。日本百名山にも数えられるこの北海道の名峰は、映像作家やフォトグラファーの作品の魅力を高めるためにも非常に重要な要素でした。

Swatch Nines

実際に滑るライダーたちの意見が踏襲されたコースレイアウト

Swatch Ninesの魅力を語るうえで欠かせないのは、革新的なコースレイアウト。これらの設計には、ライダーたちの意見が採用されています。

2025年10月にトップライダーたちがニセコに集結し、ワークショップを開催してコースについてのディスカッションを実施。それらを元に、なだらかな曲面を活かした流動的なコース構成や、多様なアプローチが可能な設計アイデアなどが生まれました。

こうしてスケートボード、スキー、スノーボードのすべてで滑ることができる統合型スケートパビリオンや、50mのロングレール、ビッグエアジャンプ、多数のフローセクションを盛り込み、ライダーの創造力や楽しさを存分に引き出せる画期的なプラットフォームが実現したのです。

Swatch Nines

世界各地でコンペティションやショーに参加するプロスキーヤー、高橋汐里氏は「あのニセコに、このような大きなセクションを作ることができたというのは本当にすごいと思う」とその感想を述べました。

Swatch Nines

「どんな技が生まれるのか」という高揚感と、会場の一体感

Swatch Ninesの初日、4月6日には各国からニセコにライダーが集結。ウェルカムナイトで交流し、7日から10日にかけて早朝セッションや撮影などが開始されました。

Swatch Nines

セッションは自由でクリエイティブな雰囲気に包まれており、競技のような緊張感はなく、ライダー同士が刺激し合いながら新しいアイデアやトリックに挑戦していました。

一方で、ひとつのトリックに数日間向き合い続けるライダーの姿もあり、楽しさのなかに本気が共存するという独特の世界感も。常に「次に何が生まれるのか」という高揚感があり、その熱はライダーだけでなく、撮影クルーやオーディエンスからも伝わってきました。

Swatch Nines Swatch Nines

実際に、アメリカのライダー、ジェイ・ロー氏がシットスキー(専用の座席に座って滑走する)で史上初となるフレア(宙返りと回転を組み合わせた高度な空中技)を成功させるなど、象徴的な瞬間も数多く誕生。セッションならではの、挑戦的で実験的な空気が際立っていました。

Swatch Nines

ジェイ・ロー氏のセッション

「普段はあまりジャンプしないのですが、今回参加して、もっとジャンプしたいと思った」と高橋氏は話します。自由に表現する中で、ウォールライド(壁を走行するトリック)が改めて好きだと実感するなど、新たな気づきもあったようです。また、スノーボーダーとスキーヤーが交わる機会も少ない中で、多くの刺激を受けたといいます。

ザジェック氏曰く、印象的だったのは「ライダーだけでなく、ビルディング(コースレイアウト)チーム、撮影チーム、運営チームを含め、関わるすべての人々が一体となり、それぞれの挑戦や成功を讃え合う空気が生まれていたところ」。立場を超えて同じビジョンを共有し、その瞬間をともに作り上げていくという一体感は、Swatch Ninesというイベントだからこそ出せる魅力といえます。

Swatch Nines Swatch Nines

ジャンルを超え、アクションスポーツの新たなムーブメントに

11日の最終日は一般公開日として、多くの人にこの唯一無二の世界観をお披露目する機会を設けていましたが、あいにくの天候不良により安全を考慮して中止に。一方で、近隣地域在住の子どもたちを対象に、参加アスリートと少人数でのセッションを楽しめる『RIDE WITH PRO』は予定通りおこなわれました。

Swatch Nines

最初はお互い緊張の表情でしたが、一度滑ると、一気に打ち解けて和やかな雰囲気に。終了後は写真撮影をするなど交流も盛んで、スノースポーツという共通項のもと、一緒に滑る楽しさを、身をもって体験できた時間となりました。

Swatch Nines

Swatch Ninesは今後も「競技とは異なる価値の提供」を重視しており、スノースポーツはもちろん、サーフィン、スケートボード、マウンテンバイクなど、他のアクションスポーツとも連携しながら、クリエイティビティを軸としたイベントとして、進化を続けていく予定です。2028年には再びニセコエリアでの開催についても検討されており、継続的な展開を見据えています。

日本はスノースポーツのみならず、スケートボードについても世界を牽引する素晴らしいライダーを多数輩出しています。それらを融合させて新たなカルチャーを生み出し、日本のシーンの一部として根付かせるのも目標のひとつ。

Swatch Nines

新たなロケーションで開催されることでさらにこのムーブメントが広まり、若い世代へのインスピレーションにもつながっていくでしょう。Swatch Ninesの、今後の展開に期待です。

ライタープロフィール

仲野さん 仲野聡子

生まれも育ちも日本一人口の少ない鳥取県。高校卒業後に上京し、東京に20年ほど住んだのち、2017年8月に喜茂別町に家族と移住しました。羊蹄山麓の澄んだ空気や豪雪を楽しみ、日々人の温かさに触れています。

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