Domingo 記事
日常と非日常の間の「粒々」を集め作品に
入口前の展示。採集しガラス瓶に収められた植物が美しい
「粒々研究所・研究員H」と称し、日常と非日常(空想の世界)の間に漂う「粒々」の採集と研究を行う林美奈子さん。「粒々」とは彼女の琴線に触れたさまざまなカケラや素粒子のことで、「イメージした世界を自由に旅することができる鍵や切符のようなもの」。それらの研究を存分に楽しめるのが「粒々研究所 g分室」です。
夢日記やスクラップブックなど、研究員Hが採集したものが並ぶ(撮影:山岸靖司)
植物の種や海辺で拾った化石、さまざまな紙片、夢の記録、不思議な話...本展を訪れた人は、まず「研究員H」が採集したささやかなカケラ(人からいただいたやさしさも含む)が持つ、美しい佇まいに魅了されるはず。「時間が写し取られてきた日焼けした紙、自然の恵みの豊かさなど、良いものを保存しておきたいという祈りのようなものが採集や研究の根底にあります」と林さんは言います。
集めたカケラたちの新たな魅力を生むコラージュ
《H氏の温室》(撮影:山岸靖司)
壁面に並ぶコラージュ作品は、彼女の研究の肝とも言えるのではないでしょうか。紙片や糸、古写真など、何てことのないカケラが重ねられていくことで、いつまでも眺めていられる素敵な世界が立ち現れることに新鮮な驚きを感じます。コラージュ作品はぜひ会場でじっくり鑑賞してほしいです。
《紙の部屋》箱制作はZoofactoryのキシモトユキオ(撮影:山岸靖司)
「人が大切に使い受け継がれてきたもの、誰かが生きた時間を記憶している古いものが大好きです。路地裏の小さなお店で陳列されたまま忘れられていったものというような、既に存在していたもののイメージ・気配をカタチにしたいと思って制作しています」と話します。
“誰の中にも「好き」を研究する小さな研究室がある”
日常と非日常の間を漂いながら採集したカケラによる《街角コラージュ》
「誰の中にもそれぞれの小さな研究室があって、日々研究や実験をしているというイメージがあります。私の研究が誰かの研究心と化学反応を起こし、あたらしい何かが生まれていったら嬉しいです」と林さん。本展を機に、日常の中で見落としていた素敵なカケラを再発見していくことも楽しいし、自分が好きで研究していることは何かな?と考えるのも楽しい。
グランビスタギャラリーは平日のみのオープンのため「仕事があって行けないな...」という人は、6月3日〜14日までギャラリー犬養で2人展を開催するそうなので、粒々研究所のインスタグラムもチェックしてみてくださいね。
林美奈子個展「粒々研究所g分室 〜?は宝物〜」
■開催日時:2026年2月26日(木)~4月14日(火) 11:00~19:00
※会期最終日は17:00まで
※土曜・日曜・祝日は休館
■料金:入場無料
■会場:グランビスタ ギャラリー サッポロ(札幌市中央区北1条西4丁目 札幌グランドホテル 1階ロビー内)
『林美奈子個展「粒々研究所g分室 〜?は宝物〜」』の詳細や地図情報はこちら
ライタープロフィール
ライター 松田 仁央
2007年から2010年まで「WG」というフリーペーパーを発行しつつ、2010年からフリーランスのライターとして活動。舞台芸術と美術が特に好きです。2002年頃からギャラリー等で絵画を中心に作品を購入しています。ここでのレポートが、誰かが「自分の一枚」に出会うきっかけになったら嬉しいです。
