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夏の平均気温は22℃!?“涼しすぎるまち”の秀逸なポスター

一度はこんな画面見たことある?釧路だけ極端に涼しいのが印象的な一枚
ポスターに描かれているのは、全国が軒並み30℃を超える最高気温の中、釧路だけがなんと20℃を切っている天気予報をイメージした画面。さらに「ごめん、もう帰られへんわ。」という一言が添えられています。実はこの画面、2023年8月8日の実際の天気や気温を再現したもののようですが、こうして見ると釧路だけダントツに気温が低いのが分かります。
このキャッチコピーやポスタービジュアルなどを手掛けたのは、北海道の道東地域のクリエイターが集まったドット道東さん。「夏場の気温が圧倒的に涼しい釧路市」のPRの一環で制作されたもので、ポスターは全18種類作成されました。いずれも釧路の涼しさを知る人には「そうそう!」と頷ける内容になっています。


さらにこのポスターは、北海道をテーマにした広告とその制作者を顕彰する「SCC賞2025」の最高賞を受賞。今回制作に至った経緯を、実際に制作を手掛けられたドット道東の名塚ちひろさんにお話をうかがいました。
“誇張せず、でも愛着を持って、地元の人が自然に口に出せるコピー”を

ポスターを手掛けたドット道東の名塚ちひろさん
釧路商工会議所から「釧路の涼しさをPRしたい」とご相談いただいたのが、このプロジェクトの始まりです。「夏でも涼しい」という特徴自体は以前から知られていましたが、それをどう伝えるかには難しさがありました。釧路の人にとって、夏の涼しさは必ずしもポジティブなものではなく、「もう少し気温が上がって、夏らしくなってほしい」と感じている方も多いのが実情です。私自身、Uターンしてまもなく10年になりますが、最初は肌寒い夏をなかなか受け入れられませんでした。
一方で、「釧路だけ天気予報の気温が異常に低くて、温度計が壊れてるんじゃないかと問い合わせが来るらしい」といった話を、地元の方が笑いながら話しているのもよく耳にしていました。夏らしい気候を求めてはいるものの、釧路の独自性にはどこかで気づいていて、自虐っぽく語りながらも、そこに少し誇らしさのようなものを感じているように見えました。

だからこそ、「誇張せず、でも愛着を持って、地元の人が自然に口に出せるコピー」が必要だと考えました。「笑えるくらい涼しいまち釧路」という言葉には、そうした距離感や感覚を込めています。

また、当社には本州から移住してきたメンバーや関西在住のメンバーもいて、「釧路に来て驚いたこと」や「釧路の面白さ」を少し引いた視点から提案してくれたことも、今回のコピーづくりに大きく影響しています。何よりも大事にしているのは、地元の人や観光客の、何気ない言葉やふるまいです。そこにこそ、釧路らしさや次のコピーの種が詰まっていると思っています。

釧路の人の誇りをくすぐり、外の人には面白いと感じてもらえること。そのバランスを大切にしながら、日々「釧路あるある」のネタを探しています。

"道東のハレの日"をつくる!ドット道東の飽くなき挑戦

なお、ドット道東さんは年に一度の"道東のハレの日"「DOTO FUN」をつくると、クラウドファンディングに挑戦中。"道東のアンオフィシャルガイドブック"として2020年に出版された「.doto vol.1」の増補改定版「.doto EXTRA」の出版も予定されています。

地元の人にも観光客にも喜んでもらうべく、それぞれの視点を元に「釧路らしさ」を深掘りした結果生まれたポスターは、正に道東地域に根差して活動しているドット道東さんだからこそ出来た一枚。「DOTO FUN」の開催など、まだまだドット道東さんの挑戦は続いていきます。
取材協力・画像提供:一般社団法人ドット道東
■X:@dot_doto_yuchi
■Instagram:@dotdoto_official
■クラウドファンディング「"道東のハレの日"をつくる祭典『DOTO FUN』を1000人と開催したい!」はこちら