Domingo 記事
北海道・道東の玄関口、女満別空港から車で約15分の場所に位置する美幌町。網走や北見、世界遺産に登録されている知床がある斜里町などに囲まれているこの町で、自然を満喫できるエコツアー・アウトドアプログラムなどのアクティビティを提供しているのが「ピーカン企画」。雲海トレッキング、屈斜路湖でのSUPやカヌー、さらには“雪の妖精”シマエナガなどを探すバードウォッチングなど、道東の自然を身近に感じられるアクティビティが人気。世界一周を経験したガイドが案内する、美幌町ならではの自然体験の魅力を紹介します。
都会でも大自然でもない、美幌町の“70の自然”の魅力を伝えたい
藻琴山から見える雲海をバックに撮影
美幌町を拠点にしたアクティビティツアーを展開するピーカン企画。「“自然とつながる感覚”を大切にしたツアーを展開したい」という想いから2023年に立ち上げられました。代表を勤める滝川朗正さんは、23歳の頃から世界一周の旅を始め、サガルマータ国立公園、コーカサス山脈、タトラ山脈、サンタクルス谷、パタゴニア地方など世界中の山々を歩いた経験の持ち主。
世界一周をしていた頃の滝川さん
旅先の人々によくしてもらった経験から「今度は自分が旅人を迎える側になりたい」と、地元・札幌に戻ってからはゲストハウス運営やガイド事業を手がける会社で働き始めます。しかし、2020年からコロナ禍を機に観光系の事業がストップされることに。そんな矢先、滝川さんの目に飛び込んできたのは、「美幌町の地域を活かしたガイドになる人募集」と書かれた美幌町の地域おこし協力隊の求人でした。
「地域に根付いてその土地の自然の魅力を伝えていきたい」と考えていた滝川さんは、早速地域おこし協力隊の求人に応募し、見事採用。2020年4月から美幌町に移住し、その地に暮らしながら美幌町の自然の魅力を自分の目で確かめながら“発掘”してきたのだといいます。
そんな美幌町の自然の魅力とはどんなところにあるのでしょうか?
滝川さんは「70の自然」という言葉を使って、こんなふうに説明してくれました。
「地域の自然度を数字で表したときに、都会が「0~5」だとすると、大雪山国立公園や世界遺産に登録された知床などは「100~120」で、僕が暮らしている美幌は「70」くらいなんじゃないかなと思うんです。世界遺産や国立公園の自然は圧巻で、本当に素晴らしいのですが、法律で厳密に守られていることから、一般の人が介入するのは難しい。でも、自然との付き合い方はいろいろあって、山菜をとって食べたり、切った木を使って道具を作ったりと、自然に手を加える楽しみ方もあるんですよね。
美幌ではそうした自然の楽しみ方ができますし、その魅力を皆さんにもお伝えしていけたらと思っています。」(滝川朗正さん)
屈斜路湖和琴半島SUPツアーの様子
美幌町を拠点としたアクティビティを提供するピーカン企画。火山が噴火してできた「カルデラ」と呼ばれるクレーターに水が溜まってできた屈斜路湖(くっしゃろこ)や、その屈斜路湖を覆うようにある山々の中でも最も標高が高い藻琴山(もことやま)を主なフィールドとしたトレッキングやカヌー、SUP、バードウォッチングなど、さまざまなエコツアーやアウトドアプログラムが用意されています。
「でも、他の地域のアウトドアプログラムとどう違うの?」と思った方のために、「ピーカン企画」が提供するプログラムならではの魅力をお伝えしていきます!
絶景の雲海が見られる「藻琴山トレッキングツアー」
藻琴山頂上から眺める雲海
まずご紹介したいのは、藻琴山トレッキングツアー。このエコツアーの魅力はなんといっても、山頂から見える雲海です。こんな景色を見たら、それまでの疲れも吹っ飛んでしまいそう!
早起きして「藻琴山雲海&日の出ツアー」に参加すれば、こんな幻想的な景色が見られるかも!?
頂上から15分ほど下った8合目には宿泊もできる山小屋があり、「銀嶺水」と呼ばれる湧き水を飲んでリフレッシュするのもおすすめ。人が少ないときは竹竿を持って行って湧き水を使って流しそうめんをすることもあるのだとか。こんな楽しみ方ができるのも、人が自然に積極的に関われる“70の自然”ならではのものかもしれません。
登山道や木々が雪で埋まると、夏とは全く別の世界に
また、冬に開催している「藻琴山スノートレッキングツアー」では夏とは全く違う景色が広がっています。夏は整備された登山道を歩きますが、冬は道や低木が雪で埋まることから、行きたい道を自由自在に歩くことができるというメリットがあるのだそう。
夏も、冬も、季節によって表情を変える藻琴山の魅力を存分に味わうことができそうです。
屈斜路湖のSUPやカヌーで、陸路からはたどり着けない秘湯へ
周囲の山々からの湧き水が直接流れ込む屈斜路湖
美幌町を拠点に展開するピーカン企画のもう一つの大きなフィールドは屈斜路湖。日本最大で、世界でも2番目に大きいと言われている屈斜路湖上で、カヌーやSUPが楽しめるエコツアーを提供しています。
カヌーから見える幻想的な景色
湖上から鹿が見られることも
美しい湖上でカヌーやSUPに乗るだけでも自然との一体感に浸ることができますが、風が穏やかな日は和琴半島の先端にある温泉「オヤコツ地獄」に行くこともできるのだとか。ちなみにここは陸路ではたどり着けないそうで、まさに“秘湯”とも呼ぶべき場所。温泉に浸かるのはもちろん、ゆで卵を作って食べることもあるのだそう。
自然の力を借りて作った温泉卵は格別
天然の温泉でゆで卵を作るなんて、観光地でもなかなかできませんよね。これもピーカン企画のアクティビティならではの貴重な体験の一つと言えそうです。
シマエナガに出会えるかも!?バードウォッチングツアー
ピーカン企画では、美幌町内と和琴半島それぞれでバードウォッチングツアーも開催。どちらのツアーでも出会える可能性があるのが“雪の妖精”とも呼ばれるシマエナガです。北海道全域に生息する鳥ですが、慣れていないと見つけるのが難しいこともあり、特に「シマエナガを探せ!美幌町バードウォッチングツアー」は人気が高いのだそう。
オジロワシ
カワセミ
そのほか「キツツキ」と呼ばれるクマゲラやアカゲラなどの鳥や、鮮やかな色彩が特徴的なアオバトに出会うことが多いのだそう。森の中でグッと目を凝らし、美しい野鳥を見つけてみてくださいね。
アオバト
このほか、「美幌の源流を巡るマウンテンバイクツアー」も開催しているそう。
自身が世界一周の旅を経験している滝川さんは「エコツアーやアウトドアプログラムは2~3時間の行程で1万円前後と高く感じられるかもしれませんが、旅やアクティビティなどの“体験”は、他の何にも代えがたいものになると思います」と話します。
冬に流氷が流れ着く網走まで車で約30分、阿寒摩周国立公園まで車で約40分、知床まで車で約90分と、近隣のどのエリアを訪れるにもアクセスが良い美幌町。早起きして藻琴山の雲海を見てから別のエリアに向かうのも良し、ピーカン企画のアクティビティをいくつか体験するも良し。
日程が限られているとすべてを体験するのは難しいかもしれませんが、ぜひご自身の気になるアクティビティを選んで、ご家族や友人と楽しい時間を共有してみてくださいね!
ライタープロフィール
佐々木ののか
1990年北海道音更町生まれ。大学進学とともに上京し、2015年からフリーライターとして独立。2021年にUターンし、現在は生まれ故郷の十勝にて、馬1頭、猫2匹、子1人とともに暮らしながら、冬は狩猟者として鹿を追っている。著書に『愛と家族を探して』『自分を愛するということ(あるいは幸福について)』(ともに亜紀書房)などがある。
