Domingo編集部
新進気鋭のガールズバンド「きみとバンド」が、約1年ぶりの全国ツアー『レコ初&4th anniversaryツアー』を開催中です。8月4日にはニューシングル『Thanks.』をリリースし、その活動はますます盛り上がりを見せる中、今回の札幌公演(10月13日)は北海道での3年ぶりのライブ。彼女たちの心中はいかに?
大野真依さん、清原梨央さんの秘めた思いをうかがいました。
それぞれのソロ活動でも注目。だからこそ生まれるバンドとしての盛り上がり
――コロナ禍を乗り越え、デビュー4周年を迎えました。これまでの活動はいかがでしたか?
大野真依さん(以下、大野):気づいたら4年経ってたっていう感じです。最初の1、2年はバンド中心の活動でしたが、3年目になるとそれぞれのメンバーの個人活動も増えてきての4周年。今年はソロ活動にも力を入れつつ、バンド活動に全力で取り組みたいと思っています。
清原梨央さん(以下、清原):以前はアイドルとして活動していて、丸2年で卒業。今はその倍の時間をバンドとして活動していると思うと「おー!」って思う時があります。バンド活動の最初のころは今よりまったく知名度がない下積み期間でしたが、2周年記念ライブの『Zepp Haneda』公演がきっかけに、以前より注目していただけるようになった気がします。この4年間で、少しずつステップアップはできているのかな。
――大野さんはきみとバンドの前身グループから活動をしていますが、そこを経たうえでの4年間。自分自身にとっての変化は感じますか?
大野:やっぱり続けていく事ってすごく難しくて……。前のグループは続かなかったですが今はこのバンドを続けることができて、しかも最近はやっと基盤がしっかりしたと感じています。もっと上を目指すところに「やっと来れた!」っていう思いでいっぱいです。少しずつですが、未来を感じられるようになってきた気がしますね。
――清原さんはもともとアイドル活動をされていましたが、バンド活動とのギャップを感じたことはありますか?
清原:もちろん全然違う環境ですが、今の方が良い意味でハードだなって思っています。以前は秋元康さんプロデュースのグループだったので、集客力は圧倒的に上でした。一方で、バンドになってからはメンバーみんなで集客に向けて毎日配信しようとか、ビラ配りをやろうとか、一人ひとりに声かけてみようとか、自分たちのできるありとあらゆる事を考えるようになりました。活動の仕方が “泥臭くがむしゃらに”っていうスタイルが、自分にはすごい合ってるなって感じています。
――ほかのメンバーも含めて多方面で活動されていますが、だからこそ良かったこと、だからこそ楽しめる部分があるのだと思います。
清原:実は私、ほかの人と違うことやるのが不安なタイプの性格で……。私たちのようなスタイルってほかにはないと思うので昔から悩んでいました。でも、最近はこのスタイルでやってきたからこそ叶ったこと、見ることができた景色がすごい多い。今はそういう悩みもなくなって楽しめていますね。
大野:私の場合は性格的に一つのことをずっとやり続けるが結構苦痛で。新曲のドラムパートを何十個も一気に覚えろって言われるより、いろんな仕事をちょっとずつやっていく方がすごく楽しい。集中しすぎると頭も痛くなってくるし(笑)。気分転換というと語弊がありますが、別の仕事が入ると気持ちが切り替わるので、そういう意味では今のスタイルが自分に合ってるなって思います。
清原:私たちは活動の幅が広い分、新しいことがたくさんあるので毎日がとにかく新鮮なんです! 常にワクワクしながらお仕事させていただけているのは、きみとバンドがこういうグループだからこそなのかなって思います。それこそ真依ちゃんは個人活動も多いので、頑張っている姿を見ると「自分ももっとやらなきゃ」って刺激を受けることがたくさんあります。ある種のライバル意識もありつつ、“仲間”ですね。
――個人活動も増えている一方で、やはりステージに上がる際はバンドマンとして気持ちが切り替わるようなことはあるんですか。
清原:普段の自分よりかっこいい姿を見せたいっていう気持ちがあるので、 “バンドマンモード”?に切り替わる瞬間がありますね。ただ、やっぱり個人活動の時でも軸にあるのは「バンドのため」。きみとバンドがあったおかげでいただけている個人活動という気持ちがあるので、ソロ活動の時でも頭の中には常にバンドの存在があります。
大野:私はグラビアをやっている時や、こういうバンドインタビューだったりとかも別に変わらないというか、自然体で活動していると思うんですが、やっぱりライブの前は気合の入れ方や気持ちの入れ方は違います。普段からすべて全力でやらせていただいてはいるんですけど、ステージに立つときは目を閉じて……。なんか、そういう気持ちの入れ方っていうのはだいぶ独特かも(笑)。やっぱりバンド活動があるから個人活動にも身が入る、想いを入れられるっていう面もありつつ、その逆もあるっていうような感じですね。
自分たちの初心を忘れないためのニューシングルは、これからの『きみとバンド』がつまった一枚
――先日、ニューシングル『Thanks.』がリリースされました。シングルCDに個別にタイトルが付くことって珍しいのでは?
大野:確かにそうですね。でも活動を続けられているのはファンのみなさんのおかげ。4年たった今、感謝の気持ちを伝えたくて。
清原:ファンの方はもちろん、関係者、スタッフ、メンバーに対しても。初心を忘れがちな4年目なので、「今活動できてるのは周りのサポートや応援があるからだよ」という自分たちにも向けた言葉がこのタイトルなんです。
――今回のシングルのコンセプトが「少し大人っぽい、新たなきみとバンド」。その具体的な意味を教えていただけますか。
大野:今までもシングルを出すときには3曲セットで出していたんですが、必ず1曲はキラキラした曲を入れていたんです。だけど今回は3曲とも“かっこよさ”に振り切りました。そういう曲へのこだわりっていう意味で「少し大人っぽい」っていう感じです。
清原:今までのイメージの、またそれを一歩上に行くようなイメージですね。
――収録曲『So Hight!』を聞かせていただいたとき、結構“エモい”なと思いました。個人的には90年代のJロックを感じるというか……。お二人の印象はどうですか。
清原:最初メンバーみんなでデモ音源を聞かせていただいたんですが、もうその時点ですごいライブの想像をしちゃった! ライブでやるならこう届けたいなとか、こんな感じになりそうだなっていうイメージが一瞬で膨らむぐらいライブ映えする曲だなって思いました。この曲には長いドラムソロがあるんですが、「これをライブでやったらめっちゃかっこよくなるやろな」っていう予感が初めて聞いた時点でしました。ドラムソロをライブで見るのをめっちゃ楽しみにしてましたね。
――清原さんの視線が熱いですが、大野さんはどうですか。
大野:1番のサビまでずっとバスドラなので、手が空くから煽ったり(笑)。ドラムソロでは、私も盛り上がりに参加できるのがすごくうれしくて。それに、曲中で3小節ぐらい止まるんですよ。そういう演出は今までやったことがなかったので、ライブで演奏したときにすごく独特な雰囲気が出て、たまらなかったです。今までは「恋のモンスター」が盛り上がる定番の曲なんですけど、私はこの曲が一番になるんじゃないかなって思っています。
――2曲目『Midnight Scream』はお二人が主演を務める映画『ゴーストスポッターズ〜夢湯〜』の主題歌でもあります。他のメンバーとはまた違った思い入れがあるのかなと思うのですが、いかがですか?
大野:私は日頃からホラー要素がある映画が好きなんですが、最初は「主題歌ってなんだろう?」って思っていました(笑)。ただ、完成した曲を聞いたら想像以上にかっこいいし、疾走感がすごい。私たちの映画も終盤に向けて展開がスピードアップするので、その情景と曲がピッタリ合ってうれしかったです。
清原:以前のライブでこの楽曲を演奏したときは、ファンの方も初めて聞くはずなのに、この疾走感に完璧に乗ってくれて! あれはうれしかったですね。
――清原さんは以前、映画『がっこうぐらし!』にも出演されていたので、ホラー映画に縁がありそうですね(笑)
清原:『がっこうぐらし!』の時って、出演こそしましたが主題歌は後輩の子たちが歌っている曲でした。自分が歌っているわけではなかったので、主演映画の主題歌で、かつ自分たちの曲っていうのは初めて。こんなにうれしいしいことはないなって思います。完成した映画も見させていただきましたが、最後に曲が流れてくる時に映画のイメージとぴったり合っていたので感動しました。
――続いて、メンバーの森田さんが作詞を担当した『こいごころ』ですが、聞いた時の第一印象を教えていただけますか。メンバーの作詞曲は決して多いわけではないので、やはり気持ちに刺さる面があったのでは?
清原:恋心一つ表現するのに、なんであんなに可愛らしく書けるんだろう……と尊敬しました。曲の中に「可愛い顔してコーヒーがブラックで」という歌詞があって、「その言い回しがすごい可愛くて好き」って理紗ちゃん(森田さん)に話したら、「あそこ梨央ちゃんのことを思って書いたんだよ」って言われたんです!他にもメンバーのことを思って書いた部分もあるって。
大野:この曲を聞いていると「この子はこういうシチュエーションでこういうことをしてるんだな」っていう情景が浮かぶので、気持ちが曲に入りやすくて。ライブでもファンの方がすごいのめり込んで入り込んで聞いてくださってる感じがします。ライブでは理紗ちゃんの世界観にぜひ浸ってほしいなって思います。
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