Domingo編集部
テーマは「農林漁業入門編」、ゲストは道内各地で農林漁業に携わる3名。北海道で第一次産業に就業することになったきっかけや、仕事・暮らしへの想いをお聞きしました。
漁業/初山別村/北るもい漁協研修生 齋藤浩之さん
千葉県出身で、2017年に東京から道北の初山別村に地域おこし協力隊として着任。
自然の豊かさや人の温かさなど、都会には無い小さな村ならではの良さを実感する。
漁業の仕事に会社員では得ることができない楽しさとやりがいを見いだせるのではないかと感じ、今年5月より地元漁師のもとで研修を開始した。
初山別村で漁業に就業したきっかけ
東京でサラリーマンをしていた頃、仕事で疲れた帰りの電車の中で、ある中吊り広告を見つけたんです。なんだろうなと思って家帰って調べて、「ああ、ここに行かないとだめだ!」と思い、初山別村に行くことを即決したんです。理由としては、大きく6つありました。
②サラリーマンとして働くことに不自由を感じ、この働き方で終わる一生が考えられない!
③なにか、挑戦したい!
④都会の雑踏の中で、人として大事な部分が薄れている……
⑤普通のレールに沿って生きてきた人生が面白くない!
⑥日本にとって大事な一次産業に携わってみたい!
初山別村ってどんなところ?
人口は1,200名程度で、水ダコ、鮭、もち米などが多く生産されています。気候としては、風が強い日が多いです。冬の寒さは特に厳しく、玄関開けたらホワイトアウトしている日もしばしば……。天気が良い日の夜は、星がとっても綺麗に見えます。
人口が少ないので、一人一人とのつながりが深く、ご飯食べさせてもらったり、魚や野菜などおすそわけがもらえたり、都会では味わえない豊かさがあります。
漁業の仕事、やってみて気づいたこと
スライドの中にあるのは、「今から鮭を獲りにいくぞ!」という場面です。漁に出るだけではなく、倉庫で漁につかう網やロープをていれする作業もします。漁業の研修は最大3年で、期間は場所によって異なります。研修は期間が長く感じるかもしれませんが、漁業はできなければ仕事にならないことも多いので、その部分をしっかりと学んでいます。
漁業をやってみて気が付いたことがいくつかありました。漁業やってみたい!という方は参考にしてみてください。
・船酔いは、意外としなかった!
・夏場はとっても暑い!風がないときに沖にいると、影ができないのであっつい!
・漁師というと力任せ、というイメージがあるかもしれないですが、力がないからと諦める必要はない!
・海に走って行ったら、向こうではものを準備できないので、事前段取りが必要!
・肉体的には疲れるけど、精神的なストレスはサラリーマンの時からだいぶ軽減された!
東京でのサラリーマン時代と比べたら、自由時間の差は歴然としており、趣味の時間も充実しています。
休日は趣味のサーフィンやスノーボードをやったり、家事をしたり、知り合いの家に遊びに行ったりしていますよ。
メッセージ
何かやりたい方は滞らずに、なんでもいいから進んでみましょう。「我が生涯に一片の悔いなし!」と言えるような人生にしたいと僕自身は考えています。何か始める時には、周りの人にあーだこーだ言われることもあると思いますが、自分の人生なので楽しんで生きていきましょう!
林業/根室市/有限会社 イシグロ 宮田真司さん
根室市で介護の仕事をしていたが、病気療養をきっかけに違う仕事に挑戦しようと6年前に林業会社に転職。
木を伐るだけではなく、植えて手入れをし次の世代に残す林業の仕事にやりがいを持つ。
また、林業に就いてから出勤時間と帰宅時間が早く、家族と過ごす時間が増えたことにも幸せを感じている。
根室市で林業に就業したきっかけ
もともと介護士の仕事をしていたのですが、病気をして1年間療養した期間がありました。 その後、違う仕事をしてみたいとおもい探して出会ったのが林業。3人の子どもがいるので家族を養うための収入があることも、大きな要因でした。普段の仕事の様子
林業って言ったらどんな仕事なのかっていうと、まず「木を切る」ことが挙げられます。 でも、「木を切ったら自然破壊じゃないの?」と思う方もいらっしゃると思います。実は自分も就職する前も思っていました。実は林業の仕事は森を破壊するのではなく、森林を作る仕事なんです。
森林は人間の手を加えないと生い茂って光が入らなくなってしまうんです。それを防ぐために木を切って「間伐」をします。ハーベスタという高性能林業機械を使って木を切り、山から木を下ろす仕事をしています。
そして次の世代に残すために、春から夏にかけては、木を植える「植栽」を行います。植えてから木として切れるようになるまで5~60年、丁寧に育てていく必要があります。 木を植えた後に生えてしまう「雑草をかる」作業や、木材として使える木を育てるために行う「枝打ち」の作業など、林業には一年中色々な仕事があります。
また、小学生や中学生に間伐現場にきてもらって、触ってみてもらうという取り組みもしています。自然の中で働くことに対して目を輝かせている子どもたちも多く、少しでも林業に興味を持ってもらえると嬉しいなと思っています。
メッセージ
一次産業に興味がある方や北海道で働きたいと考えている方は、自然が大好きな方が多いと思います。ほんと北海道は自然が多くて、呼吸をすると匂いもいいです。山の中は特に、すごく気持ち良いですよ。ぜひ一回来て、味わってみてください。
農業/美幌町/2022年度新規就農予定 吉田幸枝さん
もともと農業に興味があり、妊娠をきっかけに夫婦で勤めていた企業を退職。2019年にオホーツク美幌町に移住。子育てをしながら2022年の就農を目指して夫の拓実さんとともに研修中。
農業を軸に地域の魅力発信プロジェクトにも関わり、自然や人とのつながりの中に新しい豊かさの形と可能性を感じている。
美幌町で農業に就業したきっかけ
美幌町にくる前は、私も主人も、研究者が集まって社会の諸課題を解決する会社で働いていました。そこでは、教育や地域開発に携わる仕事をして、まちの中の色々な立場の人と関わりながらやりたいことを支援する仕事をしていました。その仕事もとてもやりがいがあって楽しかったのですが、私も主人ももともと農学の研究をしており、食糧生産にすごく興味があって、いつかは農業をしてみたいと思っていました。
・それはいつするの?みんなのやりたいことを支援するのではなく、今自分のやってみたいことをやったほうがいい!
・都会は豊かなのか?青森の両親の姿が豊かに見えてきて、自分にとっては都会は豊かではない!
・仕事を通して地域活性化に関わると、支援者にしかなれないという歯がゆさを感じる……自分も地域の中のプレーヤーになりたい!
まずは就農フェアにいってみました。その際に北海道の担当の方と知り合って、美幌町の担当者の方に繋いでもらいました。
旅行気分で美幌町に遊びに行くことになって、先輩農家さんのところで収穫のお手伝いなどもさせていただいたんです。その後、
とても幸運なことに、美幌町は支援制度も恵まれていて、かなりいろんな人が助けてくれるいい環境でした。
支援制度で地域を比較することも大事だとは思うのですが、人との出会いを大事にして流れに乗ることも大事なんじゃないかと思っています。
これからやってみたいこと
私たちは今第三者農業経営継承という制度を利用して、その方のお家を借りて住んでします。農地も5ha取得する予定です。
私たちは農地の広さの関係で、畑作農家ではなくて野菜農家になってレタスをたくさん作ることが決まっています。それに必要なお金がわかってきてドキドキしています。自分達にしかできない農業ってなんだろうという話をよくしています。
最近ウェルビーイングという言葉が流行っているのですが、ウェルファーミングという言葉があってもいいんじゃないかと考えています。野菜だけでなく人を育てる農場があってもいいんじゃないかとか、研究機関と連携した実証実験の場になるような農場があってもいいんじゃないかとか、地域活性化の軸になるような農場があってもいいんじゃないかとか……!
色々と今後が楽しみです!
メッセージ
私たちが動いている軸は、「やらない後悔より、やって後悔」!ぜひみなさんも、やってみたいことがあったらまず動いてみましょう!
まとめ
漁業、林業、農業に就業している・もしくは就業予定の3名にお話を聞きました。3名とも他の仕事からの転職や他の地域からの移住を決意して行動した方々の力強いお話でした。
「北海道で第一次産業に携わってみたい」「話を聞いてみたい」という方は、オンラインイベントに参加するなど少しずつでも「行動」することが大切なのだと改めて教えていただけたイベントでした。
次回の「北の大地のジョブサロン」は明日11月21日(土)14:00~です。 ぜひこちらから申し込んでみてくださいね!