いちご栽培の火を灯し続ける!比布町のぴっぷいちごが紡いだ100年を未来に繋ぐ|Domingo

いちご栽培の火を灯し続ける!比布町のぴっぷいちごが紡いだ100年を未来に繋ぐ

まち

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比布町

Domingoが北海道のまちと1ヶ月間コラボしてお届けする企画、第3弾となる今回は「比布町(ぴっぷちょう)」に密着! まちの楽しみ方や、とっておきの特産品に関する情報を4週に渡ってお届けしています。
3週目となる今週は、今年記念すべき100周年を迎えた、ぴっぷいちごについてご紹介!比布町でのいちご栽培のはじまりや、今行われている取り組みに迫りましょう。

ぴっぷいちごのはじまりと100年

比布町でのいちご栽培の歴史は、ちょうど今から100年前の大正10(1921)年に遡ります。そのはじまりは、太田山付近の農家さんが「子どものおやつ」として栽培を始めたことだったのだそう。
福岡県では1920年代後半、栃木県では昭和20年代と言われており、比布町のいちご栽培は全国的にも早い段階で開始されました。

昔のいちご栽培の様子

ぴっぷいちごは「露地栽培」されていることが特徴。露地栽培とは、ビニールハウスなどで管理をせず屋外の畑で作物を育てることをいい、日光など自然の恵みを存分に受けながら育ちます。
比布町のいちご狩りでは、たっぷり太陽を浴びて育った旬のいちごを楽しむことができます。

露地栽培のいちご

いちご狩り

実はこのぴっぷいちご、順調に100年の歴史を紡いできたのか思いきや、これまで何度か危機を迎えていました。

たとえば昭和40年頃。
いちごを露地栽培しているということは、雨風などの天候や、病気の影響を受けやすいということ。繊細ないちごにはなかなか厳しい生育環境です。連作障害などの影響もあり、この頃の比布町ではいちごの収量が減り、それに伴って栽培面積もだんだんと減っていってしまったのです。

「いちご栽培の火を灯し続けたい」
そう考えた有志の生産者が先頭に立ち、危機を乗り越えるための施策を考えました。ぴっぷいちごを守るため、昭和46年、いちごのハウス栽培を開始したのです。

ハウスでのいちご栽培開始

また、平成10年代後半にも危機が訪れました。

ハウス栽培は環境を安定させることはできますが、その分燃料が必要。燃料の高騰で金銭的にも負担がかかるため続けるのが難しいという生産者さんも多く、最盛期には60軒以上だった生産者さんの数が、近年は20軒ほどに減ってしまったのです。
また、水稲の複合経営でいちごを栽培していることから、水稲の規模拡大に伴い、労力のかかるいちごの栽培から離れる人が増えていきました。

いくつかの危機を乗り越え、これまで続いてきたいちご栽培の歴史を紡ぐため、今度は冬に育ついちご「紅ほっぺ」の栽培を始めました。

現在比布町で栽培されているいちごの種類は、北海道での露地栽培に適したバランスの良い「けんたろう」、新品種で果実の大きい「ゆきララ」、ケーキなどに使われる加工用の「赤い妖精」、そして甘みと酸味のバランスがよく冬にハウス栽培できる「紅ほっぺ」の4種類。

いちご狩りなどそのまま食べる柔らかいいちごは露地栽培、ケーキなどに使う加工用のいちごをハウスで栽培しています。

収穫時期は「けんたろう」「ゆきララ」が6月〜7月上旬、「赤い妖精」が5月〜11月上旬、そして「紅ほっぺ」が12月下旬〜5月末ごろまで。冬いちごの栽培が始まったことで、比布町は1年を通していちご栽培ができるまちとなりました。

冬いちごの栽培開始

ハウス内の冬いちご

100周年を記念!比布町で行われている取り組み

2021年、100周年という記念すべき年を迎えた比布町では、様々な取り組みが行われています。
生産者さんと一緒に喜びと感謝を分かち合い、またそれを町内の方に、そして町外の方にも広げていきたいという思いで、生産者さん・JA・行政が実行委員会を立ち上げて行なっているのがこの「ぴっぷいちご誕生100周年記念事業」です。

ぴっぷいちご誕生100周年記念事業

中でも注目したい取り組みを4つご紹介します。

①ぴっぷいちご紹介キャンペーン
ぴっぷいちごの一つ「赤い妖精」を使用した「100周年記念特別メニュー」が、町内の飲食店で楽しめるという取り組みで、7月いっぱい行われました。
町内の9店舗がそれぞれ、いちごを使ったオリジナルメニューを開発・提供していました。

いちごスムージー

いちごパフェ

いちごパンケーキ

②町内の子どもたちに向けた、いちごの定植体験
今年8月、比布町の子どもたちを対象に、「いちご(ゆきララ)の定植体験」を行いました。
「いちご狩り」の体験はしたことがあっても、「いちごの苗を植える」ことはなかなか体験できませんよね。そして来年6月〜7月、今回定植したいちごが収穫期を迎える頃に収穫の体験も予定しているのだそう。
いちごのまちで生まれ育つ子どもたちに、「いちごのことを知って体験してほしい!」という思いから行われた取り組みでした。

いちご定植体験①

いちご定植体験②

③ぴっぷいちご100周年の記念品を開発
比布町では、ぴっぷいちご100周年を記念して、いちごを使った商品を開発しています。
まだ、どんなものが完成するかは「おたのしみ」ですが、ぴっぷいちごを味わうことができる飲みものか食べものだそうですよ!
完成が待ち遠しいですね!

記念品開発

④100周年ハッシュタグキャンペーン
Twitter・Facebook・Instagramにて、比布町や苺に関することを投稿を募集中!
ハッシュタグ「#ぴっぷいちご100周年」を入れて投稿してくれた方の中から、抽選で景品のプレゼントがあるのだそうですよ!

ぜひ比布町での思い出や、いちごに関するエピソードを投稿してみてくださいね。

ぴっぷいちご今後の展望

100周年を迎えたぴっぷいちごは、今後どんな風に歴史を紡いでいきたいのか、比布町 産業振興課農政係でぴっぷいちごを担当している中澤さんにお話をお聞きしました。

「ぴっぷいちごが100年続いてきたことは、比布町の財産だと考えています。」

米や小麦など主食となる作物を除けば、同じまちで同じ作物が100年も続いていくということはなかなかなく、この100周年をきっかけとして、ぴっぷいちごがこれから150年、200年を迎えられるように取り組んでいきたいと話します。

「『ぴっぷいちご紹介キャンペーン』のように、生産者さんも、町内の事業者さんも、町内外からのお客さんも、いちごを発端にみんながハッピーになれるような企画をしていきたいというのが野望です!みんながいちごを楽しむ『いちごの日』なんていうのもやってみたいですね!」

100年続いてきたぴっぷいちごが、今後も進化を続けながら歴史を紡いでいく未来が、ありありと見えるようなお話を聞かせていただけました。

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