ゲストハウスの別館を『書店+シェルター』にするべく、クラウドファンディングを実施中!札幌【UNTAPPED HOSTEL】|Domingo

ゲストハウスの別館を『書店+シェルター』にするべく、クラウドファンディングを実施中!札幌【UNTAPPED HOSTEL】

まち

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札幌市

新型コロナウイルスの感染拡大を機に、生活困窮者を受け入れるシェルターとしての活動を始めた札幌のゲストハウス『UNTAPPED HOSTEL』。旅人たちの安らぎの地だったこの場所は、これまで以上に公共性を帯びた施設に変化しつつあります。
現在、シェルターを継続しつつ、一部を書店にすることで「新しい公共の場」を持続可能な形で展開しようと模索中。9月末まで、そのための資金を集めるべくクラウドファンディングを行っています。
いまだからこそ、本を通じて見えてくる希望もあるはず。あなたも支援してみませんか?

コロナ禍で一転、ゲストハウスが進んだ新たな道

UNTAPPED HOSTELは、札幌市北区に2014年に開業したゲストハウス。道内外、国内外、さまざまなところから旅人が訪れては、また次の目的地へ飛び立っていく宿木のような場所です。

UNTAPPED HOSTEL 神輝哉さん

宿主は、神輝哉さん。かつて鰻屋だった5階建てのビルを友人たちと改装し、2016年には同敷地内の古民家も別館に加わりました。寝泊まりをするだけでなく、飲食店との共同イベントやミニコンサート、展示販売会や結婚パーティーなどが催され、これまで多くの人たちが交流して新たなつながりをつくってきました。

「僕が高校生くらいのときは、おそらく全国的にも、洋服屋さんやレコード屋さんなどの小さな個人店が多かったと思うんです。そして、そういう人たちが街を活気づけている印象がありました。格好いいな、素敵だな、自分もそうなりたい、というシンプルな思いに加えて『自分の場を持ちたい』という希望もあったことから、人が集まれるゲストハウスを始めたんです」

人が集まれるゲストハウス

かつての夢を徐々に形にしていた神さんですが、2020年の新型コロナウイルス感染症の猛威で、状況は一変しました。2月のさっぽろ雪まつりが終わったあたりから例年に比べて人の行き交いがなくなり、3月に入ると東京で最初の緊急事態宣言が出て、宿の売り上げは9割減。先の見えないなか、このゲストハウスをどう存続させていくのか。神さんは頭を悩ませました。

そんな折、友人がSNSでシェアした「都内でネットカフェ難民が急増している」というニュースが飛び込んできました。24時間営業ができなくなったネットカフェから、帰る家のない人が追い出されるケースが増えていたのです。「札幌も他人事ではない」と危機感を募らせた神さんは「UNTAPPED HOSTELという場所を、生活困窮者に開放できないか」と考えるようになりました。

友人がSNSでシェアした「都内でネットカフェ難民が急増している」というニュース

「この状況は長引くな、と直感で思ったんです。だから、とってつけたようなことはやりたくなかった。この窮地に、自分の生き方を問われているような感覚もありました」

突然の寄付金をきっかけに、支援は新たなステップへ

これまではインバウンド需要もあり、北海道の観光業の景気は右肩上がりでした。空き地ができたら、すぐにホテルが建つような状況。しかし神さんは「いまは良くても、きっとどこかで破綻する。自分はこんなことをやりたくて宿を始めたんだっけ?」という違和感を常に抱えていたと言います。

札幌の街

「だから、生活困窮者の支援は自分のなかでしっくりくるものがあったんです。転んだ人がいたら、手を貸したい。自分以外の誰かのケアを受けない人間なんて地球上のどこにもいないのだから、自分が転んだときに『助けて』と言えるほうがいいと思うんです。そのためにも、いま自分にできることをやりたかった」

とはいえ、福祉は未知の領域。予想もつかないながらも、想いに導かれるままにホームレス支援を行う『北海道の労働と福祉を考える会』にコンタクトを取り、それをきっかけに『札幌市ホームレス支援センターJOIN』ともつながることができました。そしてさまざまなサポートを受け、制度を活用して2020年5月より別館を3食付きのシェルターとして解放することができたのです。

北海道新聞に掲載された活動の様子

この活動は北海道新聞にも掲載され、SNSでも拡散されて多くの人の知るところとなりました。そんなある日、転機が訪れます。神さんがいないときに、スタッフがある人から500円玉がパンパンに入ったボトルガムの入れ物を受け取ったのです。

「シェルターの活動をSNSでご覧になった人が『何かに役立てて欲しい』と、500円貯金を寄付してくださったんです。とても驚いて、このお金を有効に使おうとスタッフと話し合いました。その方はきっと、見えない何か…多少なりとも希望を、僕たちに託してくれたんだと思います」

500円玉貯金と共にあったメモ

炊き出し『大きな食卓』から見えてきたこと

その寄付をきっかけに、神さんは『おおきな食卓』と題した炊き出しを企画します。SNSで支援が必要なことを呼びかけたところ、賛同者から寄付金や物資がたくさん集まりました。

「おおきな食卓」と題した炊き出し

当日はコロナ禍で職を失い生活に困っている人たち、大学生や留学生も含めて合計150名もの人たちに物資やお弁当を渡すことができたそうです。それだけでなく、会場ではヘアカットを行ったり、ピアノ演奏を聴きながら過ごしていただいたりと、多くの人に心を休めてもらえる空間をつくることができました。

ヘアカットの様子

「特にアーティストの羊屋白玉さんはとても力になってくれました。さまざまな仲間に声をかけてくれて、細かなアイディアを出してくれたり、当日現場でも奔走してくれたりしました。ヘアカットやピアノ演奏の実現も白玉さんのおかげです。通常の炊き出しに創造の余白を与えてもらったような気がします」

福祉と呼ばれる領域にも創造性があってよい。むしろあるべきだ。ということを改めて思うきっかけになったと神さんは言います。

本がつなぐ縁。そして、本が灯す希望という光

旅人の受け入れから、シェルターや炊き出しを経て、より公共性を帯びてきたUNTAPPED HOSTEL。神さんはいま、カルチャーと福祉が融合した「新しい公共の場」を持続可能な形でつくろうとしています。現在受け入れ施設としている別館一階の一部を、宿泊施設から新刊をメインに扱う書店に業態変更し『書店+シェルター』として運営していこうと決めたのです。シェルターは、二階部分を使用して継続します。

書店のイメージ

「出版社で営業職の仕事をしていたので、0から始めるよりはやりやすかったですね。本って、あらゆる場所やもの、人と接続可能なんです。1から10まで自分たちで選書することで、時間をかけてUNTAPPED HOSTELらしい本屋になっていくと思います。『こんな世の中になったらいいよね』『いまの政治、おかしくない?』といった、主体的なメッセージを発信できる役割も担えたらと」

現在は、9月末までのクラウドファンディングを実施中。すでにこの活動に賛同する多数の人からプロジェクトの支援があり、目標を大きく超える金額が集まっています。リターンにはUNTAPPED HOSTEL宿泊プランや、本館一階「ごはんやはるや」のお食事チケット、書店で使えるチケットのほか、ユニークな「棚オーナー制度」も(現在は完売)。

棚にはオーナーの私物であるおすすめの本だけでなく、自分で作った本など、自由に置いてもらうことを考えています。当然オーナーの個性が出ることから、多種多様な空間が作られることでしょう。訪れた人に、思いもよらない出会いをもたらしてくれるかもしれません。

神さんは、特に若い人たちに向けた書店にしたいと考えています。UNTAPPED HOSTELがある北18条は、北海道大学を中心とした学生街。コロナ禍で、学生時代だからこそできることにも制限がかかるなか、多様な生き方があるということを経験する機会まで奪われてしまっていないかと、危惧しているのです。

北海道大学の学生たちと

「インターネットで本を買うと、そこから推測しておすすめの本が表示される仕組みがありますよね。それは非常に便利ですが、そこに偶然の出会いがあるのか、と言われるとどうでしょうか。書店に行けば、自ら面白い物を探し当てるフィジカルな体験を通して、自分の知らない道に辿り着くこともできる。そのなかで、好きなことが見つかるかもしれない。僕が一番伝えたいのは『好きなことを熱中してやろうぜ』ということなんです。書店を含めたこの場所が、そのきっかけになったらいいなと思います」

コロナ禍という厳しい状況下で生まれた、ひとつの灯火。UNTAPPED HOSTELを訪れる人たちに、本を通じて希望という小さな光を灯してみませんか。

クラウドファンディング: 「札幌に、カルチャーと公共の境界線を溶かす「書店+シェルター」をつくりたい!」
住所:〒001-0018 北海道札幌市北区北18条西4丁目1-8
TEL:011-788-4579
Email:info@untappedhostel.com
Webサイト: https://untappedhostel.com/

ライタープロフィール

仲野さん 仲野聡子

生まれも育ちも日本一人口の少ない鳥取県。高校卒業後に上京し、東京に20年ほど住んだのち、2017年8月に喜茂別町に家族と移住しました。羊蹄山麓の澄んだ空気や豪雪を楽しみ、日々人の温かさに触れています。

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