かつて函館丸井今井呉服店で使われていた陶製の商品券「函館陶製切手」|Domingo

かつて函館丸井今井呉服店で使われていた陶製の商品券「函館陶製切手」

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「商品券」といえば、一般的にはお札と同じ大きさの紙のものを思い浮かべますが、かつては陶製でお皿の形をしたものがあったことをご存じでしょうか。古銭収集家のワラビさんが、北海道で商品券のような役割で流通していた所蔵品をSNSに投稿したところ、5000件近くのいいねが寄せられ話題になっています。

函館陶製切手
こんな見た目ですが、商品券の一種です。
かつて北海道で丸井今井という呉服屋が発行した物で、紅皿という道具に額面が書かれています。

函館陶製切手

@magaxA10 さんの投稿より引用

写真には楕円形のお皿のようなものに、赤や青、緑や黒で文字が書かれています。よく見ると「ハコダテ」や丸の中に「井」の文字が書かれていたり、「呉服洋物切手」「引換券」などの文字も読み取ることができます。

函館陶製切手

130年以上前に開業した「函館丸井今井呉服店」

「丸の中に井の文字」といえば、北海道の人にはお馴染みの百貨店「丸井今井」さん。1874年5月に札幌で丸井(当時の文字は丸の記号の中に井)今井呉服店を開店した後、函館では1892年4月25日に函館丸井今井呉服店を開業し、場所を変えながら今も丸井今井函館店として営業を続けています。この貴重な品は、当時の函館丸井今井呉服店で使われていたものと思われます。

函館市地域交流まちづくりセンター

開業当時の建物は今も「函館市地域交流まちづくりセンター」として活用されている

大変貴重な品をお持ちだったワラビさんに、詳しいお話を聞いてみました。

気に入ったポイントは「奇妙な見た目」

Q こちらはどこで手に入れましたか?

ネット上のオークションで入手しました。やや珍しい品になりますが、古銭収集界隈では古くから変わり種として知られており今でも時々オークション等に出回っています。

ちなみに裏面には「日本摂酒株式会社」という文字が彫られていますが、これはこの紅皿を造った会社の商標です。日本摂酒が造った紅皿を丸井今井が流用して商品券にしたようです。

函館陶製切手

裏を見ると「日本摂酒株式会社」の文字が彫られているのが分かる

Q こちらは「陶製切手」という大変珍しいものですが、ワラビさんが気に入っているポイントはありますか?

惹かれるポイントはその奇妙な見た目です。商品券といえば通常は紙であるところを、コインとも何とも言い難いこんな奇妙な見た目で発行された実例があるというのが大変面白いです。恐らく世界史上、他に類を見ない物だと思います。

Q 他にも北海道に関するもので所持されていらっしゃるものはございますか?

はい。私のコレクションで北海道にまつわる物をご紹介します。これは「箱館通宝」と言って、江戸時代末期に蝦夷・松前限定で流通が許可された鉄製の貨幣です。
箱館通宝

箱館通宝

日米和親条約締結で箱館が開港され北の要所となった結果、当地で多くの貨幣が必要とされた為、幕府が特別に許可を出して造られました。鉄製なので現存品のほぼ全てが赤く錆びています。
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