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北海道旅行のお土産といえば必ず名前が挙がる、石屋製菓の「白い恋人」。1976年の発売以来、香ばしいラング・ド・シャとチョコレートの絶妙な組み合わせで、長きに渡って愛されている洋菓子です。今回は「白い恋人」の誕生秘話や、発売から変わらぬおいしさを守り続けるためのこだわりまで、その人気の裏側に迫ります。
駄菓子メーカーから洋菓子メーカーへ。方向転換が成功のきっかけに

おなじみの「白い恋人」。今も昔も北海道土産の代表的存在
香ばしいサクサクのクッキーに、あま〜いホワイトチョコレート。北海道に来たことがある人も、来たことがない人も、ほとんどの人が一度は食べたことがあるのではないでしょうか。
石屋製菓が「白い恋人」を発売したのは1976年。それまでは、ドロップスや生菓子などの駄菓子を手がける小さな駄菓子メーカーでした。1960年代後半、大手菓子メーカーが次々に北海道へと進出。倒産の危機に直面したのは、石屋製菓も例外ではありません。
そこで2代目の石水勲さんは駄菓子の製造から180度方針転換することを決意。北海道の良質な原材料を使って、高級洋菓子を作ることを決意します。こうして生まれたのが、石屋製菓の代表銘菓であり、北海道土産の代名詞でもある「白い恋人」です。
おいしさを支える、ていねいな仕事

焼きむらのない美しい焼き色のラング・ド・シャ
発売開始から50年近くたった今もなお、愛され続けている「白い恋人」ですが、そのおいしさを守り続けるのは容易なことではありません。チョコレートをサンドするのは、ラング・ド・シャというフランス伝統の焼き菓子。ラング・ド・シャはサクサクと軽い食感が特徴ですが、この食感を出すのが至難の業。

温度や湿度を調整しながらていねいに焼き上げる
天候でオーブンの設定温度が変わるほどデリケートなお菓子作り。原料を加える順番やタイミング、生地の温度や比重が少しずれるだけでも食感が変わってくるのだとか。そのため、ひとつひとつの工程での細かなチェックが必要となるのです。
ラング・ド・シャが焼き上がると、熱々のうちに「白い恋人」オリジナルのチョコレートをサンド。これが冷めると、サクサクのラング・ド・シャとなめらかなチョコレートが融合した「白い恋人」になるのです。
北海道への愛をこめたパッケージ

「白い恋人」といえばのこのパッケージ。缶入りはお土産に大人気
パッケージに描かれているのは、北海道の秀峰「利尻山」。スイスの山並みのようなその風景に、ヨーロッパ風のお菓子作りを目指していた思いや北海道への愛が映し出されているそう。個包装になっているのもお土産にはうれしいポイントです。

定番のホワイト(左)とホワイトよりやや甘さ控えめのブラック(右)
「白い恋人」のホワイトチョコレートを使った関連商品を続々と開発するなど、北海道を代表する菓子メーカーとなった今でもたゆまぬ努力を続ける石屋製菓。西区にある「白い恋人パーク」では、「白い恋人」の製造ラインを見学できたり、チョコレートの歴史を学べたりするので、「白い恋人」をはじめ石屋製菓についてもっと知りたい人はぜひ足を運んでみるのもいいかもしれません。

札幌市西区にある「白い恋人パーク」は札幌を代表する観光スポットのひとつ
※価格は税込。掲載情報は記事公開時点のものです。
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ライタープロフィール
札幌在住ライター 高島 夢子
佐賀県生まれ。同志社大学文学部西洋文化史学科卒業。大手旅行代理店での勤務を経て、京都の出版・編集プロダクションにてエディター・ライターとして経験を積み、2022年に独立。2024年、好きが高じて北海道へ移住する。旅、食、文化などのコンテンツを中心に、書籍、雑誌、Webメディアで記事を編集・執筆する。