Domingo編集部
北海道の魅力が詰まった作品が勢揃い!「北海道遺産フォト&短歌チャレンジ2024」入賞作品発表
「フォト部門」グランプリ&準グランプリ
グランプリ
林 繁造 / 秘話の地
■題材 / 撮影場所・時期
積丹半島と神威岬 / 神威岬・2022年8月
■本人コメント
春と秋にある神威岩と太陽のコラボ「蝋燭」の撮影準備中、思いもよらぬ「天使の梯子」が空一杯に広がるドラマチックなシーンに遭遇。この地に伝承される秘話を思い浮かべながら撮影した。
■審査員講評
大胆でかつほんわかと柔らか味もある光芒と暗い雲の割れ間に残る黄金色が、この作品の見どころ。同じ場所に何度通っても納得のいく光景に出会えない時もありますが、今回はまさにこれだという一瞬を捉えることができたのですね。運だけではなく、それを見極める感性も必要です。神威岩の上向きを感じさせる形も生きています。
準グランプリ
・平田 和治 / mikuni no aki
■題材 / 撮影場所・時期
十勝三股の樹海 / 三国峠・2021年10月
■本人コメント
天気予報とにらめっこして雨上がりの三国峠へ。紅葉のピークを朝日が照らし、雲海も絶妙な位置にいてくれました。
■審査員講評
三国峠から見る樹海はカメラ愛好者に人気のスポットの一つです。同じようなカットのある中で、こちらは絶好のシャッターチャンスをものにしていてよかったと思います。圧倒的な迫力の樹海のほんの一部分が朝日を受けて浮かび上がっているのもいいですし、近代建築の象徴的な存在としての松見大橋も主張しすぎず映り込ませた構成もなかなか。ドラマチックな作品になりました。
・江崎 絹枝 / 孤高
■題材 / 撮影場所・時期
野付半島と打瀬舟 / 野付半島 トドワラ・2021年2月
■本人コメント
トドワラの木々は、年々減っていき無くなっていく貴重な半島です。撮影時にあったこの樹は、今は朽ち果て存在せず写真の記録する力を噛み締めています。
■審査員講評
傍らに輝きを放ち沈みゆく太陽を従えて、たった一本、葉もなく頼りなげでありながら、しっかりと立っている樹。やっぱり絵になりますよね。真っ赤に染められた雪原が見事で、冬の北海道らしい凄みのある写真になりました。手前に見える幾筋かの影も中央の黒く映った部分もバランスよくおさめられており構図の取り方も洗練されています。
「短歌部門」グランプリ&準グランプリ
グランプリ
遠藤 雄介
私からするプロポーズ上の句を読まずに競う歌留多仕込みの
■題材
下の句かるた
■本人コメント
以前、競技かるたを趣味にしていたとき、北海道出身で女性のかるた競技者と仲良くなり、その方を通じて下の句かるたを知りました。彼女は(下の句かるたではない)別のかるた競技者の男性と結婚されましたが、逆プロポーズだったらしいです。ああ、きっと彼女には普通のかるたはじれったかったんだろうな、等と考えていると面白く、歌にしてみました。
■審査員講評
下の句かるたとプロポーズを組み合わせる発想が良い。お題を下の句に持ってくるのは手練れのつくり方。
準グランプリ
・中村 哲
たくさんの恋をしました小清水のキスゲが風にゆれております
■題材
ワッカ / 小清水原生花園
■本人コメント
今年の6月に知床から小清水にかけて旅行しました。この地域は学生時代から(もう50年以上前になります)ずっと行きたいと思っていたところです。期待に反せずどちらもすばらしい所でしたが、小清水の丘からオホーツクの海を眺めていると、過ぎ去った昔のこと、通り過ぎたたくさんの人のことが胸をよぎり、風にゆれるエゾキスゲがさよなら、さよならと手を振っているような気がして自然と口をついて出てきたのがこの歌です。
■審査員講評
何を入れてもいいはずの固有名詞の部分が「小清水のキスゲ」で完成していて、安定をみせている。しらべがいい。
・松本 俊彦
その青に吸い込まれそうになりながら見上げた空もまた違う青
■題材
摩周湖
■本人コメント
摩周湖には、もう三十年以上前に新婚旅行で行きました。北海道の各地を巡ったのですが摩周湖の青さが今でも最も印象に残っています。「青」には違いないのですが、何とも違う「青」でした。見上げるといつもの空。それもまた「青」なのだけれど、それは見慣れた「青」。だからこそ、摩周湖の「青」はいつまでも記憶に残る「青」でした。
■審査員講評
雄大なイメージが鮮やかに広がっている。リフレインを用いながらそれぞれの「青」が違う色に見えてくるのが上手い。