Domingo編集部
十勝士幌町にある商店街の店舗を取り上げた冊子『ミルシルしほろブック』が士幌町全戸に配布されました。紹介されている店舗は飲食店や理容室・美容室はもちろん、個性的なクリーニング屋さんや写真館、本屋さんや金物屋さんなど、地域に密着した士幌町商店街の魅力がぎっしり詰まっています。
今回は制作に携わった一般社団法人ドット道東の野澤一盛さんと、インターンで制作に携わった佐藤颯太さんに制作に至った経緯をうかがいました!
野澤 一盛さん
一般社団法人ドット道東、専務理事。帯広市在住
士幌町プロジェクト全般を担当
佐藤 颯太さん
北海道恵庭市出身。2022年3月北海道大学卒業
大学3・4年生の半分を士幌町で滞在し、インターン生活を送った
――今回の「ミルシルしほろブック」はどのような経緯で制作されたのでしょうか
野澤さん:かなり話をさかのぼりますが、元々は士幌町の飲食店をはじめとしたお店を紹介するショップカードを道の駅「ピア21しほろ」さんで配布するという構想があり、2020年にプロジェクトがスタートしたのが発端でした。
話し合いを重ね、2020年にピア21しほろさんと私たちドット道東でインターン生の募集をし(その時の様子はこちら)、応募してくれたインターン生と一緒に「しほろ商店街見える化プロジェクト」がスタート。そのプロジェクトの一環で商店街のお店を取材し、その内容を元に「しほろよってく?マップ」を公開しました。
元々士幌町には多様な面白いお店があるのですが、時代の流れもあり「町の商店街のお店を活用したことがない」という声も少なからず聞こえていました。今回の冊子については「まちの人にまちの商店を使ってもらいたい」という目的で、士幌町商工会さんの依頼で作成したものです。
ちなみに元々構想されていたショップカードは外から訪れた方に飲食店などを利用してもらう目的でしたが、今回の『ミルシルしほろブック』で紹介しているのは地元の本屋さんや金物屋さんといった暮らしに密着したお店です。読んでいただく対象は外からいらっしゃる方よりも、地元に住んでいる方に向けて発信していこうと心がけました。
――自分が住んでいる近くのお店で「いつも通りがかるけど一度も入ったことがない」というところは確かに多いです
野澤さん:なかなか入りにくいですよね。中でどんな人がやっているかとか、どんなものが置いているかとか、お店の雰囲気がわかるだけでも入りやすくなると思い、そのきっかけを冊子で提供できたらと思ってつくりました。
――ではここからインターン生として参加された佐藤さんにお話をうかがいます。佐藤さんが士幌町を訪れたのはいつ頃でしたか
佐藤さん:最初は2020年10月から2021年3月までで、その時に「しほろ商店街見える化プロジェクト」と「しほろよってく?マップ」の取り組みに関わりました。その後もう一度2021年9月から2022年2月に士幌町に滞在し、この冊子の制作は2回目の滞在中に行いました。
――どのような役割でしたか
佐藤さん:60近くのお店に取材をして、ショップカードに掲載するテキストやガイドブックの記事を担当しました。また滞在中にはお店を何度も利用させてもらって、地元の方と交流しながらプロジェクトそのものを理解していただいたり、認知度を高めることをしていました。
――地域をつなげる役割だったんですね
佐藤さん:はい。インターンを通じて冊子の制作や店舗のお手伝いなどやることは沢山ありましたが、ドット道東の方々と取材をしたり、堀田さん(道の駅「ピア21しほろ」を運営する株式会社atLOCAL代表取締役)の傍にいさせてもらったことで「ローカルで働くとは・ローカルで生きるとは」ということを肌で感じることができました。
――佐藤さんはインターンをする前は「ローカルで働く」といったことに興味があったのでしょうか
佐藤さん:実は最初から強い興味があったという訳ではなく、きっかけは「.doto」を読んで「道東に行きたい!」と思ったのがスタートでした。中に求人募集のような紙が挟まっていて、それに登録していたら今回のインターンの情報を見つけて応募しました。
――なぜ2度も訪れたんでしょうか
佐藤さん:自分は実家が恵庭市なのですが、士幌町の最初4か月半の滞在で住んでいるまちよりも士幌町のことが詳しくなって、知れば知るほどまちの日常の光景が豊かになってきているように感じまして。2回目は「それをまた確かめに行きたいな」と思って行きました。
――滞在している時の印象的なことがあれば教えてください
佐藤さん:冊子の冒頭でも紹介しているのですが「ピア21しほろ」で『しほろミニ商店街市』というイベントを開きました。「道の駅に商店街を集めてたくさんの人に知ってもらう機会をつくろう」というコンセプトでお店の方々にお声がけさせていただいたのですが、最初はそれほど熱量も高くなかったのが開催が近づくにつれて積極的に参加していただけたのが嬉しかったです。
参加していただいたお店のひとつ『はらお書店』さんには当初「イベント用に20冊ほど本を選んでください」とお伝えしたのですが、気がつくと60冊近く用意してくださってビックリしたのを覚えています。このイベントで改めて地元の方々と一緒に熱をもって取り組めたことが、とても印象深かったです。
――以前お話をうかがったことがあって、堀田さんは常々「士幌町の方々のために」と仰ってます。今回はまさにそれが体現化された取り組みに感じました
佐藤さん:堀田さんは「日本一町民に必要とされる道の駅」を掲げているのですが、その教えを受けて自分なりに形にできたのかなと思いました。イベントの中身は僕を含めて5人のインターン生でつくったのですが、自分たちなりに町を紹介する切り口を考えたのが面白味のひとつになったような気がします。
野澤さん:インターン生の滞在時期はバラバラでイベントの時にいない人もいたのですが、「イベントをやりたい!その内容を冊子に入れ込みたい!」と意見を出してくれたのはインターン生からでした。いろんな方に冊子の感想を聞くと、冒頭に掲載しているこのイベントの様子に町の方々の熱量を感じたという方が多くいらっしゃいました。
野澤さん、佐藤さん、ありがとうございました!
旅行や観光など「まちの外」に楽しみを求めることはよくありますが、実際住んでいるまちの魅力は、意外と知らないことが多いです。士幌町のお店やひとの魅力をありありと伝える『ミルシルしほろブック』は、町の一家に一冊、欠かせないガイドブックになりそうです。
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