「バス停が吹っ飛ぶ」「路外に落ちる」北の交通インフラを支える『沿岸バス』のゆるいSNSとゆるくない環境|Domingo

「バス停が吹っ飛ぶ」「路外に落ちる」北の交通インフラを支える『沿岸バス』のゆるいSNSとゆるくない環境

北海道羽幌町を拠点に札幌と留萌・羽幌・豊富を結ぶ「特急はぼろ号」などを運行している「沿岸バス」さんのXの投稿は、ゆるく楽しませてくれる内容でファンがとっても多いことで知られています。そんな沿岸バスさんが冬の運行について一風変わった投稿をし、話題になっています。

【お知らせ】
冬期の輸送障害について。当アカウントでは、実態に即した表現として、あえて地元向けの言葉(方言)や生々しい言葉を使用する場合があります。

沿岸バス

@enganbus さんの投稿より引用

紹介された表現は「路外に刺さる」や「路外に落ちる」となんとなくその様子が想像できるものから、「道路がうんでいる」のように地元以外の人の頭にはクエスチョンマークがつきそうなもの、そして「バス停が吹っ飛ぶ」は例えかと思いきや意味がそのままだったりするものも。いずれも沿岸バスさんが過酷な状況の中、バスを運行しようとしてくれていることがひしひしと伝わります。

バス停が「吹っ飛ぶ」「刺さる」 投稿の真意とは

Domingoは沿岸バスさんに、どのようにしてSNSに投稿されているかについて、お話をうかがいました。

普段の広報は、標準語を使用するよう心がけていますが、災害などひっ迫した事態においては方言など地元で一般化した言葉、Xではネット用語も場合によっては用いています。

このようにXではラフでくだけた表現も使われる一方、あえて使っていない表現もあるそう。

メディアが使いがちな「陸の孤島」「○年に一度」といった表現は、出来るだけ避けるよう心がけています。

その理由については、「陸の孤島」は電気・水道・ガスなどのライフラインが断たれたと誤解を生んでしまうため、「○年に一度」は過去に暴風雪でこの表現を用いたところ、数日後に同じ規模の暴風雪が発生したことがあったため、と教えていただきました。

冬の北海道で路線バスを運行するのはとっても過酷

沿岸バスさんの主な営業エリアの留萌管内は鉄道が無いため、地域の方にとっては路線バスが移動の要。そのため、大雪や暴風雪によって運休になる場合は、各市町村、各学校および教育委員会、主たる観光協会などに連絡を入れ、地元の学校は授業途中でも早いバスで下校を促すことも。

冬の運行で最も危惧しているのが、経路途上での立ち往生です。直近では、2018年2月に国道232号の地吹雪で運転を断念。翌朝に救助が来るまで路上で夜を明かしたということがありました。

沿岸バスさんがなぜこんなにもXで懸命に発信しているのか。その理由はかつての東日本大震災にまで遡ります。電気などインフラが絶たれているなか、被災者の皆さんが当時のTwitterを使って現況を発信していたことが強く印象に残り、本格運用をはじめるに至りました。地域の生活を支える日々の運行状況はもちろん、北海道胆振東部地震の際には、停電の情報や運転再開の見込みの情報を発信していました。


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