Domingo編集部
北海道にある登別温泉は、硫黄泉をはじめとする多彩な泉質と豊富な湯量に恵まれ、新千歳空港や札幌市内からもアクセスしやすい人気の温泉地。今回は観光の際に家族連れやカップルで訪れるのにぴったりな登別温泉のおすすめ温泉宿を、厳選して4軒ご紹介します。
アクセスと泉質や源泉についてなど、登別温泉の基本概要
登別温泉の温泉ホテルを紹介する前に、まずは登別温泉の特徴を紹介します。立地とアクセス情報に続き、登別温泉の泉質や源泉について、それぞれの簡単な基本的な情報です。
アクセス便利な登別温泉
登別温泉は北海道の中では比較的交通の便がよく、アクセスしやすい温泉地。新千歳空港から車で約1時間、札幌市内からも高速道路を利用して1時間40分程度で行けます。新千歳空港や札幌市内から直通の高速バスもあるうえ、JR線を利用して登別駅から路線バスに乗り換えても行くことができます。公共交通機関の玄関口は登別温泉バスターミナル。この付近から、飲食店やお土産物店が並ぶ「極楽通り商店街」が続き、食事や買い物も存分に楽しめるロケーションです。
登別温泉の泉質は硫黄泉をはじめ10種類も!
登別温泉の魅力はなんといっても、豊富な湯量と多彩な泉質です。乳白濁で茹で卵のような独特の臭いがする硫黄泉をはじめ、塩化物泉や鉄泉、炭酸水素塩泉など、登別温泉街だけで9種類もあり、近隣にあるカルルス温泉を含めた登別温泉エリアでは10種類もあります。日本国内の各地に有名な温泉地は多々ありますが、狭いエリアでこんなにもたくさんの泉質のお湯に浸かることができる温泉地は珍しいです。
登別温泉のすごさは登別地獄谷を見ればわかる!
泉質が多彩で湯量が豊富な登別温泉の源泉は複数ありますが、一番規模の大きい源泉地が「登別地獄谷」です。登別地獄谷は、日和山の噴火活動でできた直径約450m、面積約11haの爆裂火口跡。温泉街に隣接していて、登別温泉の代表的な観光名所でもあります。谷間には数多くの湧出口や噴気孔があり、各所で噴煙が上がっているほか、熱泉が噴き出ている場所もあります。登別地獄谷を見渡せる場所に展望台があるほか、谷の中の一部には遊歩道も整備されているので、大地の迫力を間近で眺めることもできます。
登別温泉の一帯は、登別地獄谷の谷間を中心に多種多様な温泉が湧出しています。これらの源泉が、温泉街のホテルや旅館をはじめ日帰り入浴の温泉銭湯にも給湯されているのです。自然の驚異を体感できる登別地獄谷を見るだけで、この地にある各施設の温泉が上質で期待が持てることを確信できるはずです。ちなみに、登別温泉には鬼をモチーフにした像や商品などが多いのですが、由来は登別地獄谷で、地獄=鬼という連想から生まれたと言われています。
登別温泉でおすすめの温泉ホテル
ロケーションが最高な登別温泉ではどの温泉宿に泊まってもいい湯を楽しめるのは間違いありません。施設により泉質数の違いがあったり浴槽数の違いがあったりするほか、もちろん食事や客室なども施設ごとの特色があります。どこも甲乙つけがたいところではありますが、その中でもおすすめの温泉ホテルと温泉旅館を4軒ピックアップして紹介します。
登別の老舗温泉旅館「第一滝本館」
「第一滝本館」は、登別温泉を代表する老舗温泉旅館。1858年に創業者の滝本金藏が妻の皮膚病を治すために作った湯治場が、第一滝本館の起源です。泉質が異なる5つの源泉を有し、約1500坪もある広大な浴場には男女合わせて35種類もの浴槽があります。しかも全て源泉掛け流し。スケール感と泉質のよさは圧倒的に北海道随一、これぞ温泉天国と呼ぶにふさわしいです。
また、登別地獄谷に一番近い宿泊施設で、宿の目の前に飲食店や土産物店が並ぶ極楽通り商店街もあります。登別地獄谷や温泉街などの散策や買い物にも便利な立地です。
泉質は登別温泉の代表的な硫黄泉、強酸性で高血圧などに有効と言われている芒硝泉(ぼうしょうせん)、アトピー性皮膚炎などによいとされる酸性緑ばん泉、肌を滑らかにする作用があり美人の湯と言われる重曹泉、湯上がりに湯冷めしにくい食塩泉があります。単一の施設でこれだけの泉質数に入浴できるところは、日本国内の名だたる温泉地を見渡しても珍しいです。しかもすべて源泉かけ流し。宿泊者は4:00~25:00まで利用できるので、まさに温泉三昧なステイを楽しめます。
第一滝本館の客室は落ち着いた「和」の設えで複数タイプあります。畳敷きの和室や和のテイストを取り入れた洋室、和洋室のほか、温泉露天風呂付の客室、バリアフリールーム、ペット同伴OKのわんちゃんルームなど多彩。定員2名の部屋から最大8名の部屋もあり、家族利用やグループ利用にも便利です。なお、客室がある建物は本館、東館、南館、西館と複数あり、部屋タイプにより建物も変わります。
食事はビュッフェスタイル、もしくは食事処かお部屋での和食会食膳のいずれかを選べます。ビュッフェでは、目の前で出来上がる熱々天ぷらやステーキをはじめ、旬の食材を生かしたさまざまな料理を好きなだけ味わえます。
和食会席膳を楽しめる食事処では、オープンキッチンから作りたての料理が出てきます。ゆったりと食事を楽しみたい方におすすめです。本館の一部客室に宿泊している人のみ限定で、お部屋での食事も楽しめます。
第一滝本館
■所在地:北海道登別市登別温泉町55
■チェックイン/チェックアウト:14:00/10:00
※時期により営業時間が異なりますので、詳しくは公式サイトをご確認ください
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※写真提供:第一滝本館
ベーカリー&カフェを併設した温泉ホテル「adex inn」
「adex inn」は、第一滝本館の向かいにある温泉ホテル。「アドベンチャー」をコンセプトにした、アウトドアアクティビティを楽しみたい方や長期滞在者などが気軽に過しやすい宿泊施設です。スキー板などアウトドアギアを置くスペースや乾燥室などがあることと、一階に登別温泉初のベーカリー&カフェがあるのが特色です。もちろん温泉も楽しめます。
adex innの温泉は、男女それぞれ硫黄泉の浴槽が1つあります。ただ、adex innの宿泊者は、滞在中に限り建物向かいにある第一滝本館の温泉を無料で利用できるのです。adex innは第一滝本館よりも宿泊費がリーズナブルなので、とてもありがたいお得なサービスです。
客室はツインルーム 39 室とシングルルーム 8 室の2タイプ。全47室あります。一人旅の方や飾らない旅を楽しみたい二人組の方などにベスト。特に、登別温泉でシングルユースの施設は少ないので貴重な存在です。
また、宿泊者のみ24時間利用できるフリースペース「メディアルーム」があり、アウトドア関連の書籍や雑誌のライブラリを閲覧したり、自身の写真や映像をプロジェクターを使って大画面で流したりすることもできます。
食事は建物1階にある「adex BAKERY&CAFE」で。発酵バターと飲用温泉水を使用した「温泉クロワッサン」など、15~20種類の焼きたてのパンやペイストリーをコーヒーなどとともに楽しめます。朝食や散策中の休憩場所として気軽に利用できるのが魅力です。登別温泉で気軽に過したいという方や、アウトドアスポーツをする方やノマドワークで中長期滞在したいという方におすすめのホテルです。
adex inn
■所在地:北海道登別市登別温泉町76-2
■チェックイン/チェックアウト:14:00/10:00
※時期により営業時間が異なりますので、詳しくは公式サイトをご確認ください
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※写真提供:第一滝本館
3つの泉質と鬼サウナを楽しめる「登別グランドホテル」
「登別グランドホテル」は、ドーム型のローマ風呂や滝が流れる庭園露天風呂で3つの泉質の温泉を源泉掛け流しで楽しめる宿泊施設。登別の鬼をテーマにした「鬼サウナ」もあり、温泉ファンのみならずサウナーにも好評な温泉ホテルです。
3種類ある温泉の泉質は、硫黄泉と鉄泉と食塩泉。硫黄泉は登別温泉の代表的な泉質で、解毒作用があり慢性皮膚病や関節疾患に有効とされています。鉄泉は一般的に様々なタイプがありますが、登別グランドホテルの場合はアルミニウム硫酸温泉という強酸性の泉質で、皮膚粘膜を引き締める作用が強いのが特徴。食塩泉は保温効果や保湿効果があるとされる泉質で、硫黄泉や鉄泉を堪能したあとの湯がり前の仕上げ気分で入浴するのがおすすめです。
浴場は「鬼灯(ほおずき)の湯」と「竜胆(りんどう)の湯」の2種類あり、男女入れ替え制で利用できます。奇数⽇は⼥性が⻤灯の湯、男性が⻯胆の湯で、偶数日はその逆。毎日深夜2:30〜3:30の間にクローズして男女が入れ替わります。
鬼灯の湯も竜胆の湯も、内湯は開放感のあるドーム型ローマ風大浴場です。中央にある大きな円形の浴室で食塩泉を、建物内の周囲に3つある小浴場で硫黄泉と鉄泉と食塩泉をそれぞれ楽しめます。屋外にある庭園露天風呂はそれぞれの浴場で趣が異なります。鬼灯の湯の庭園露天風呂は、滝が流れる様子を眺めながら硫黄泉の岩風呂に入浴できます。いっぽう、竜胆の湯の庭園露天風呂では、石を基調にした露天風呂で硫黄泉を楽しめるとともに、檜風呂で食塩泉も楽しめます。
さらに、貸切の温泉家族風呂があるのも魅力。家族やカップルだけで入りたい方や他の人に身体を見られたくない方などにおすすめです。ちなみにこちらの泉質は食塩泉。一度に4名まで利用できます(要予約)。
サウナーに人気の鬼サウナは⻤灯の湯にあります。110度と鬼のように高温のオートロウシュ式サウナで、約16度の沢水を利用した檜水風呂があるほか、43〜44度の温⽔の⽻釜風呂「⾚の⽻釜」と水風呂の「⻘の⽻釜」もあり、温冷交代浴も楽しめます。きっと、鬼のように”ととのう”でしょう。
客室は、広さや定員が異なる数タイプの和室や洋室をはじめ、露天風呂付客室や特別室、貴賓室などがあります。2人での旅行や家族やグループでの旅行など、利用シーンや好みに合わせて客室を選べます。
食事は、北海道の食材や地元の素材を多用した和洋折衷スタイルで提供しています。夕食の基本パターンは、シェフが目の前で調理して提供するビュッフェスタイル。和・洋・中の約70品の料理の中から好きなものを好きなだけ味わえます。朝食も同じくビュッフェスタイルです。
ビュッフェ会場にはスイーツ工房もあるのが特色。工房で焼き上げたしっとり・ふわふわのバウムクーヘンは絶品!ぜひ味わいたいひと品です。
宿泊プランによっては夕食をビュッフェスタイルではなく、食事処でのお膳料理を選ぶことも可能です。カニづくしの「蟹御膳」や特別な日のための「お祝いの膳」など、ゆっくり落ち着いて食事をしたい方などにおすすめです。
登別グランドホテル
■所在地:北海道登別市登別温泉町154
■チェックイン/チェックアウト:15:00/10:00
※時期により営業時間が異なりますので、詳しくは公式サイトをご確認ください
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※写真提供:登別グランドホテル
子ども連れの温泉旅行で利用しやすい「登別万世閣」
「登別万世閣」は登別温泉バスターミナルの目の前にあり、公共交通機関で登別温泉へ訪れる時に圧倒的に便利な温泉宿泊施設です。温泉入浴はもちろん、サウナも楽しめ、水風呂が温泉水を使用していることも大きな特徴です。
温泉の泉質は硫黄泉で、正式には「酸性-含硫黄-鉄-単純温泉(硫化水素型)」と言います。源泉をかけ流しで浴槽に注いでいるものの、源泉の温度は自然任せなので温度が高い場合は加水をして適温に調整しています。浴場は男女とも内湯と露天風呂があり、登別の名湯をゆったり楽しめます。シャンプーやリンスにこだわりたい方のためにシャンプーバーもありますよ。
また、浴場には80度~90度に保たれたロウリュサウナとともに、17度~19度に保たれた源泉水風呂や地下水を使った15度~17度の水風呂があります。源泉水風呂は登別温泉の源泉をそのまま冷却した水風呂。クールダウンの時に乳白濁の水風呂に浸かることができる施設はそうそうありません。外気浴ベンチもあり、心地よく”ととのう”こと間違いありません。
客室は和室が中心で、温泉やサウナ付きの特別室がリニューアルオープン予定。1人旅から4~5名の家族旅行やグループ旅行まで利用しやすい客室展開です。洋室のシングルとダブル以外はすべてバス・トイレ別なので、家族利用など人数が多い方々に嬉しいポイントです。
食事はビュッフェスタイルで、和食や洋食、中華のほか、アイヌ料理にヒントを得た郷土料理や多国籍料理などが約90種類も並びます。ライブキッチンがあり、握りたての寿司やできたて熱々の料理を楽しめます。キッズビュッフェコーナーがあるうえレストランの一角にはベビールームもあるので、子ども連れの方が過しやすい食事会場です。さらに、料理を取り歩くためのカートもあり、高齢者などにも好評です。登別万世閣は、温泉好きな方はもちろん、サウナ好きの方や家族利用の方などへ特におすすめです。
登別万世閣
■所在地:北海道登別市登別温泉町21
■チェックイン/チェックアウト:15:00/10:00
※時期により営業時間が異なりますので、詳しくは公式サイトをご確認ください
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※写真提供:登別万世閣
登別温泉は泉質に恵まれた日本有数の温泉地
登別温泉は、北海道内はもちろん全国を見渡しても泉質に恵まれた温泉地です。登別温泉は地獄や鬼のイメージが強いのですが、地獄というよりも日本有数の温泉天国です。源泉かけ流しの温泉を楽しめる宿泊施設が数多くあり、それぞれの施設に特徴的な魅力もあります。新千歳空港などからアクセスしやすく、散策や買い物、食事も楽しめるロケーションというのも旅行先として魅力のポイントです。登別温泉にある好みの温泉宿で思う存分、温泉三昧の休日を過してみてはいかがですか?
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ライタープロフィール
トラベルクリエイター 川島 暢華
神奈川県出身。北海道全179市町村を旅して北国の魅力と魔力にとりつかれ、2009年に北海道へ移住。それ以来、主に旅行や地域活性に関するメディアの取材撮影と記事や映像の制作、企画編集などを手掛ける。マイミッションは「北海道ファンを増やす」こと。