Domingo編集部
地域からの恩恵に自覚的でいたい。5周年を迎えたドット道東が辿り着いた「ローカル事務局」という役割
住むと決めた場所で楽しく生きたい。そんな想いを実現するために、北海道の東側にあたる道東エリアで設立された一般社団法人『ドット道東』。2019年の設立以降、日本全国で活躍するプレイヤーを道東に招くイベントや、クラウドファンディングで340万円もの支援を集めたガイドブックの制作、地域の企業や自治体と提携した求人情報メディアの運営など、多くの人を巻き込みながら次々と事業を展開しています。
ドット道東はいかにして誕生し、これからどこへ向かっていくのか。5周年という節目のタイミングで、設立メンバーである中西拓郎さんと野澤一盛さんにお話を伺いました。
中西拓郎
1988年生まれ、北海道北見市出身。一般社団法人ドット道東・代表理事。2012年北見市にUターン。フリーランスとしてローカルメディア運営・編集・プロデュースなど幅広く道東を繋ぐ仕事を手掛ける。2019年5月、「理想を実現できる道東にする」をビジョンに掲げ、北海道の東側・道東地域を拠点に活動するソーシャルベンチャー・一般社団法人ドット道東を設立し、現職。
野澤一盛
1988年、京都府京都市生まれ。大学卒業後、2011年ソフトバンク(株)に入社。入社早々、札幌に転勤し北海道生活をスタートしIT流通の法人営業に5年間従事。2016年転職を機に十勝に拠点を移し、農業分野の人材エージェント、採用PR、移住支援事業の北海道支店立ち上げを担う。十勝に来てから始めたブログをきっかけに、地域情報に関する執筆、写真動画撮影、インターンコーディネーター、など副業をはじめ、2020年にドット道東専任に。
「助けてほしい」という呼びかけから始まったドット道東
――ドット道東の設立5周年おめでとうございます。今回は、改めてこれまでの歩みを振り返りつつ、活動を通してのお二人の変化や、今後の展望などについて伺えたらと思います。よろしくお願いします。
中西・野澤:よろしくお願いします。
――では、はじめに立ち上げまでの経緯を聞かせてください。ドット道東は、どのようにして誕生したのでしょうか?
中西:ドット道東の創業メンバーと初めて一緒にやったのは、2018年3月に開催した『道東誘致大作戦』というイベントでした。当時、僕は北見で『1988』という雑誌を作っていたんですけど、ジモコロというWEBメディアの編集長をしていた徳谷柿次郎さんが知り合いを連れて道東に来ることになって。SNSでのやり取りから、全国各地で活躍するクリエイターや経営者の方々を案内をすることになったんです。
なので「みんなで一緒にイベントを企画しよう!」という流れではなく、「すごい人たちが来ちゃう!一人じゃ無理だから助けて!」って感じで周りの人に声をかけたのが始まりだったんですよね(笑)。
中西:そのときに声をかけたのが釧路や十勝で活動していた人たちで、僕が暮らしているオホーツクも含め、クラウドファンディングで一番支援金が集まった地域にゲストを呼ぶことになったんです。
野澤:そのクラファンが始まったのを、僕はSNSで見ていました。当時、僕は十勝で農業の求人サイトの仕事をしていて、(中西)拓郎をはじめ、イベントを企画していたメンバーのことは全員知っていたんです。
そしたらすぐに企画メンバーのひとりから「クラファンで十勝のPRを手伝ってほしい」という連絡をもらって。僕としては面白そうな企画だから関わりたいと思っていたので、「よっしゃ!」という気持ちで手伝うことにしました。
――どんなところに惹かれて、この企画に関わりたいと思ったんですか?
野澤:当時、僕はゲストの方を誰も知らなかったんです。なので、「誰を誘致するんだろう」と思ったのを、すごく鮮明に覚えています。だけど、SNSの反応を見ていたら、すごい人たちなんだというのがわかってきて。これは関わっておいたほうがいいなと思ったんですよね(笑)。最初は本当にそんな感じでした。そこからは、拓郎たちがイベントを開催するたびに手伝いに行くようになりました。
中西:『道東誘致大作戦』は単発のイベントのつもりだったんですけど、けっこう反響が大きくて、企画メンバーで他所のイベントに呼んでもらったり、仕事の相談も受けるようになったんですよね。ただ、個人事業主の集まりだったので、やりにくさもあって。企画メンバーの4人で話し合った結果、受け皿となる組織を作ろうということになったんです。時期としては創業の着想は2018年11月頃で、野澤含めみんなに伝えたのが2019年の1月だったかな。
――その4人のなかに野澤さんはいなかったわけですよね。
野澤:そうですね。僕はよくイベントの手伝いをしに行ってたんですけど、打ち合わせとかには入っていなくて。自分的には4.5人目くらいのメンバーのつもりでした。
中西:そうやってイベントごとに手伝ってくれる仲間が何人かいたので、組織を作るにあたって、一度みんなに聞いてみたんです。「道東の受け皿を作って、いろんなことをやっていこうと思っているんだけど関わりたい人いますか?」って。そのときにシゲ(野澤一盛)が、がっちりコミットしたいって言ってくれたんですよね。
野澤:僕だけな(笑)。「一般社団法人を作るんだけど、ボードメンバーとしてやりたい人いる?」って聞かれて、即答で「入ります」って言いました。
中西:それでシゲを含めた5人で、立ち上げたのがドット道東だったんです。とはいえ、常に仕事があるわけではなかったので、それぞれ個人の仕事を続けながら、ドット道東で受けた仕事は協力してやるみたいな感じの動き方でしたね。
野澤:別に毎日ミーティングをするとか、定額で給料をもらうとかではなく、僕は会社員をしながらプロジェクトごとに動くみたいな感じでしたね。ドット道東でちゃんと給料をもらうようになったのは、『.doto』(ドット道東が制作した道東のアンオフィシャルガイドブック)を出してからだったと思います。