北海道むかわ町で恐竜の新種?カムイサウルスを「超えるかもしれない」新たな発見とは|Domingo

北海道むかわ町で恐竜の新種?カムイサウルスを「超えるかもしれない」新たな発見とは

むかわ町

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今回新しくむかわ町穂別で確認された恐竜の化石のレプリカ(穂別博物館提供)

今回新しくむかわ町穂別で確認された恐竜の化石のレプリカ(穂別博物館提供)

またまたむかわ町穂別で恐竜の大発見!?

 今からちょうど一ヶ月前の2021年の1月6日、”むかわ町穂別で新しい獣脚類の恐竜の化石が確認された”というニュースが飛び込んできました。記者会見を行ったのは、北海道大学が世界に誇る恐竜学者で、「ダイナソー小林」の名で親しまれる小林快次教授らの研究グループです。小林教授によると、穂別博物館の収蔵庫に眠っていた化石が恐竜のもので、これが”むかわ竜”ことカムイサウルス以上の大発見かもしれないとのこと!しかしこの化石、一体何なのか?なぜすごいのか?サッパリわからないという方も多いと思います。そこで今回は、この化石に隠されたメッセージについて解説していきたいと思います。

小林教授(左)と竹中喜之町長(右)の記者会見の様子

小林教授(左)と竹中喜之町長(右)の記者会見の様子

鳥は恐竜という新常識

 恐竜と聞くと、何を思い浮かべますか?読んで字のごとく恐ろしい竜...。ゴジラや怪獣の原型となった怪物...。しかし実はそれらは、一昔前の恐竜のイメージです。今や恐竜の復元図は大きな変貌を遂げています。まずは”最新の恐竜”の定義からお話しします。
時代は遡って1960年代、ヒッピー文化がアメリカを席巻していた頃、恐竜研究者の間にも新しい風が吹き荒れます。それは、「恐竜が鳥へと進化したのではないか」という革新的な学説の登場でした。この現象は後に「恐竜ルネッサンス」と呼ばれ、恐竜の概念が大きく覆った出来事でした。1990年代後半になると、中国を中心に様々な「羽毛を持つ恐竜」の化石が次々と発見され、恐竜が鳥へと進化したことが証明されました(下図)。

ミクロラプトル・グイの化石の図(イラスト制作:鈴木諒)。風切羽根が手足に生えていた。

ミクロラプトル・グイの化石の図。風切羽根が手足に生えていた。
(イラスト制作:鈴木諒)

 その後、恐竜と鳥の境界線上に位置する化石がどんどん見つかり、二つを区別することができなくなってしまいました。そしてついには”恐竜”の定義が変化し、「鳥」が「恐竜」に含まれるようになったのです!すなわち、鳥=恐竜の一部なのです。
 つまり最新の定義によれば、昨日近所の公園で日向ぼっこしていたハトも「恐竜」、路地裏でゴミを突いているカラスも「恐竜」...。すなわち恐竜は絶滅もしていなければ、のろまな怪物でもありません。現代では、鳥類が約9000種、哺乳類が約6000種であり、大空が鳥であることを考えると、現在も恐竜時代は続いていると言っても過言ではないのです。

道民のソウルフード、ザンギも”恐竜のお肉”

道民のソウルフード、ザンギも”恐竜のお肉”

今回の発見について

 今回の発見について、重要なポイントは二点あると考えられます。まずは、むかわ町穂別で新しく確認された化石は「獣脚類」と呼ばれる恐竜のグループです。獣脚類とは二足歩行を行う肉食/雑食性の恐竜をまとめたグループで、かの有名なティラノサウルスも獣脚類に含まれます。一方、獣脚類の中には鳥へと進化した仲間もいます。今回発見された化石は小型獣脚類のものであり、見つかった地層も恐竜時代の後半である、白亜紀という比較的新しい時代のものなので、鳥に近い恐竜である可能性があります。さらに、日本では恐竜の化石が少ないこと、今回の獣脚類が新種の可能性があることなどから、恐竜と鳥との進化の歴史に新しい発見をもたらすかもしれません! とはいえ、まだ研究は進行中の段階。具体的になにが鳥への進化につながるのか、発表されたわけではありません。まだまだ、それはこれからのお楽しみです。

北海道を真っ二つ!今回化石が見つかった地層とは?

ところで、今回発見された獣脚類、そして全身骨格の見つかっている”むかわ竜”ことカムイサウルスのどちらも「蝦夷層群」という北海道の地層から見つかっています。興味深いのは、蝦夷層群が海でできた地層(専門的には海成層と呼びます)であることです。この蝦夷層群は、稚内から南に向かって、北海道を縦に真っ二つに分けるように走っています。三笠市や中川町はアンモナイトが多く見つかることで有名なのも、蝦夷層群が「海成層」だからです。

蝦夷層群の分布図

蝦夷層群の分布図 (分布図制作:鈴木諒)

蝦夷層群で採れたアンモナイト”

蝦夷層群で採れたアンモナイト

 蝦夷層群は白亜紀中期〜後期(ティラノサウルスやトリケラトプスが生きていた時代も含まれる)という1億年前〜6600万年前の時代です。当時、ここ北海道は海の底でも、すぐ近くの大陸には、恐竜たちが闊歩していました。ちなみにカムイサウルスは、死んだ後にお腹にガスが溜まって、大陸から北海道までぷかぷか海を漂って海底で堆積したと考えられています(下図)。今回の獣脚類は、死後どのように陸から遠く離れた海の底に流されたのでしょうか。今後の研究成果の注目ポイントです!

陸から海へ流されるカムイサウルスの図 ①海岸に生息 ②洪水などで押し流される ③海底に堆積(イラスト制作:鈴木諒)

陸から海へ流されるカムイサウルスの図 ①海岸に生息 ②洪水などで押し流される ③海底に堆積
(イラスト制作:鈴木諒)

 鳥への進化解明という、カムイサウルスの全身骨格とはまた違う角度で研究の見地を開いてくれる今回の恐竜の新発見。今後の研究発表に期待しましょう!

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