Domingo 記事
北海道・十勝の広大な畑と穏やかな空気に囲まれた更別村。この地に2022年、帯広市内で愛されていたイタリアンレストラン「Stella terra adomani(ステラ テラ アドマーニ)」が移転オープンしました。「もっと身近にイタリアンを」をコンセプトに、地元の新鮮な食材をふんだんに使ったパスタや、店主の旅の記憶が詰まった一皿が評判。わざわざ足を運びたくなる、日常と非日常が交差する料理やお店の魅力をご紹介します。
帯広での営業を経て、運命の更別村へ
お店が入っている更別村の「サラパーク」。中にはホテルも併設
お店があるのは、更別村の複合施設「サラパーク」の中。地域の人たちの暮らしの延長線上にありながら、外から訪れる人も自然と受け入れてくれる、ひらかれた場所です。観光地のような非日常でもなく、ただの日常でもない。そのあいだにある、ちょうどいい時間が流れています。
赤いテーブルマットが非日常を感じさせるテーブル席
ソファ席はお子様連れに人気。予約がおススメ
もともとは帯広で営業していましたが、知人の紹介をきっかけに、更別への移転を決めて2022年7月に再スタートを切った「Stella terra adomani」。帯広と比べると人の数は少なく、決して集客しやすい場所ではないかもしれません。それでも、帯広や大樹町など十勝各地から足を運ぶお客さんがいて、地元の人たちにも少しずつ愛される場所になってきました。
30歳で独立した店主の早川さん。お店のコンセプトは「もっと身近にイタリアンを」
「ステラおじさん」の愛称で親しまれている店主の早坂さん
お店が掲げるコンセプトは、「もっと身近にイタリアンを」。パスタを中心とした料理は、どれも親しみやすく、それでいて丁寧。ふらっと立ち寄れる気軽さがありながら、一皿一皿には素材の持ち味を引き出す確かな技術と、お客さんを楽しませようとするやさしさが込められています。ちなみに、店名の「Stella terra adomani」は早坂さんによる造語。“輝く大地で、また会いましょう”という意味。帯広から更別へと場所を移しても「またここで会えたら」という想いが込められています。
早坂さんはこれまで、結婚式場や帯広市内のイタリアンレストランで経験を積み、ハンバーガー店の店長も務めてきました。もともと「30歳で独立しよう」と決めていたそうですが、気候や農業の環境がどこか似ていて、イタリアンは見た目がシンプルで、素材を活かすのに向いている。十勝の食材を伝えるには、すごくいいアプローチだと考えた末に選んだのが、イタリアンでした。
大切に飾られているイタリア時代の写真たち
「この地域には、まだまだ飲食店が少ないんです。自分の店だけじゃなくて、南十勝全体がもっと面白くなったらいいなと思っています。わざわざ更別まで来てもらえたらうれしいですね」と早坂さんは話します。
更別や十勝の食材を、イタリアンで味わう
更別村や十勝の食材をふんだんに。絶品イタリアンで味わう
「Stella terra adomani」では、地域の野菜やパンなどをとりいれています。普段から村にある食材をイタリアンという形で味わうことで、いつもとは少し違う角度からその魅力に出会える。それは単なる“外食”ではなく、地域の食をあらためて知るきっかけにもなっています。
ランチタイムに楽しめる、サラダ、ベーコン、カボチャサラダ、人参ラぺなど、盛りだくさんな前菜
ランチタイムでは、「日替わり前菜、パスタ、食前と食後のドリンク、ドルチェ付とお腹いっぱい楽しめるパスタコース(全6品)」2,300円と、「サラダ、ドリンク、パスタがセットになったパスタセット(全3品)」1,800円から選ぶことができます。
選べるパスタ。人気の「海老と海苔のクリームパスタ」
ランチで印象的なのは、少しずついろいろな味を楽しめる前菜の存在。ひとつひとつの料理を、シェフ自ら説明してくれるのもこの店らしいところ。ワンオペでの営業ながら、「料理を味わう時間そのものを楽しんでほしい」という気持ちが垣間見えます。
帯広時代からの名物料理「ステラおじさんの卵焼き」750円
「豊西牛の自家製ローストビーフ」1,300円
一方、ディナーは気軽に好きな料理を組み合わせながら楽しめるアラカルトが中心。宴会の需要に併せて、飲み放題付の宴会プラン(6,000円~)も用意されています。どれも価格がとてもリーズナブルなのが、ステラの魅力のひとつ。
「感動を横文字にすると、“ギャップ”だと思うんです。値段以上に喜んでもらいたい。値上げするのは簡単だけど、そうじゃないところを工夫していきたいんです」。そんな早川さんからの言葉からも、料理そのものだけでなく、“体験としての満足感”を大切にしていることが伝わってきます。
ランチもディナーも大満足。更別や十勝の食材をイタリアンで
昼間は店内に日光がたくさん差し込む店内
店内には、イタリアを旅したときの記憶が散りばめられています。飾られた絵や音楽、空気感のつくり方まで含めて、「更別村の中に小さなイタリアをつくりたい」という思いが感じられます。
そんな早坂さんの旅の記憶が、料理として表れているもののひとつがティラミスです。イタリアを旅した際に出会った、スポンジを使わない冷えたティラミス。そのおいしさが忘れられず、インスピレーションを受けて、自分なりに再現したのだそう。「ステラおじさんの自家製ティラミス」は、甘さがちょうどよく、食後にぴったりな一皿です。
「ステラおじさんの自家製ティラミス」770円。写真はハーフサイズ550円。(テイクアウトは1つにつき容器代+50円)
帯広から更別へ。場所を変えたことで、「Stella terra adomani」が担う役割も、少しずつ変化してきたのかもしれません。地元の人にとっては、少しだけ特別な日常を。訪れる人にとっては、その土地の暮らしに触れるきっかけを。「Stella terra adomani」があるのは、そんな日常と旅のあいだのような場所です。
更別村を訪れたとき、あるいはこの土地で暮らす日々のなかで。ふと足を運びたくなる、あたたかなイタリアンレストラン。食を通して地域とつながる、やさしい時間を味わいに、訪れてみてはいかがでしょうか。
※金額は全て税込
stella terra adomani
■所在地:北海道河西郡更別村南1線93-38
■営業時間:LUNCH:11:30〜14:00(L.O.) / DINNER:17:30〜21:15(L.O.)
■定休日:月曜、第1・3・5火曜
「stella terra adomani」の詳細と地図情報はこちら
ライタープロフィール
鹿女 / 編集者 中村 まや
宮城県出身。グルメメディアの編集者から猟師へと転身。”鹿女まやもん”という愛称で親しまれている。おいしく命をいただくことをモットーに、鹿を獲るところから精肉まで一貫して行う。また、ロゴやパンフレットのデザイン制作やライター業、イベントの企画運営などフリーランスの編集者としても積極的に活動している。
