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超試食販売や無料配達…。小さな洋菓子店から北海道を代表するお菓子メーカーになるまで
コクのあるミルキーなチーズケーキ「ドゥーブルフロマージュ」のイメージが強いルタオですが、始まりはチョコレート工場でした。その後、1998年に小樽市に「小樽洋菓子舗ルタオ本店」がオープン。味には自信があったものの、認知度が足りず、全く売れない日々が続いていました。そこで始めたのが今も続いている「超試食販売」という独自の試食販売スタイルです。
後悔のないように、しっかり納得してから買ってもらえるよう、販売員が商品の価値を説明しながら試食を提供、販売するこのスタイル。「超」がつくほどなので店内ではケーキを何種類も惜しみなく試食提供します。
1998年、小樽市堺町のメルヘン交差点にオープンした「小樽洋菓子舗ルタオ本店」
それでもなかなか売上は安定せず、観光客のみならず地元の人たちにも認知してもらうため、小樽市内でケーキの無料配達をスタート。「小樽は坂が多いため、冬場は雪が積もったり凍ったりして、年配の方やお体の不自由な方は外に出られません。だから、120円のシュークリーム1個からでも無料で配達することにしたところ、とても喜んでいただけました」と広報担当者。無名の洋菓子店から少しずつ知名度を広げ「小樽といったらルタオ」というまでに成長を遂げていったといいます。
ルタオが小樽を逆さ読みしていることはよく知られていますが、実はそれだけではありません。フランス語で「親愛なる小樽の塔」という意味の「La Tour Amitié Otaru」(ラ トゥール アミティ エオタル)の頭文字を取ったもので「小樽の地元の方をはじめ、みなさまから愛される小樽の象徴的な存在になりたい、そういう意図をもって『ルタオ(LeTAO)』と名付けました」。
「熱狂的なファンを創るため」の全員参画経営
「熱狂的なファンを創る」ことをモットーに、超試食提供や無料配達をはじめ「お客さんに喜んでもらえるなら」とさまざまな取り組みをしてきたルタオ。お菓子作りも同様で、一人でも多くのファンを増やすべく「昨日より今日、今日より明日、更に美味しくするにはどうすればいいか」ということを常に考え、ヒット商品でも妥協することなく、おいしさを追求し続けています。
「ルタオ本店」の2階の喫茶コーナー
チョコレート、チーズ、フルーツにナッツ…。素材選びでは北海道をベースに全国各地、世界にまでおよび、パティシエ自ら現地に足を運んで、生産者の声を聞きながらレシピを作り上げているというこだわりようです。
「もっといい素材はないか、素材のよさを最大限に引き出す方法はないか、材料の混ぜ方や焼き方、バランスはこれでいいのか、などパティシエや工場長だけでなく、1年目のスタッフまでもが経営者の立場に立ち考える」のがルタオ流だと教えてくれました。
独自の冷凍技術で一躍ヒット商品に「ドゥーブルフロマージュ」
「ドゥーブルフロマージュ」2,376円
ルタオの看板スイーツといえば「ドゥーブルフロマージュ」ですが、このスイーツは北海道の牛乳で作ったルタオオリジナルの生クリームと、世界のチーズとの出会いから生まれました。
当初は小樽の店舗のみで販売する生ケーキの1つでしたが、お客様から「お土産で持ち帰りたい」「自宅に送ってほしい」という要望が相次ぎ、冷凍する技術の開発を始めました。
ケーキは冷凍すると味が落ちてしまうという認識が一般的だったため、冷凍方法や原料の配合を見直しながら、約5年の歳月をかけて独自の冷凍技術を開発。冷凍状態で発送できるようになったことで、よりたくさんの人のもとに届けられるようになったのだそう。
冷蔵庫で5〜8時間解凍してからいただきたい。半解凍状態で食べるのもおすすめ
「ドゥーブルフロマージュ」のおいしさの鍵は、北海道産の生乳でつくったルタオオリジナルの生クリームにあるといいます。北海道産牛乳の自然な風味と、コクを出すための殺菌温度、そしてそれらを生かす乳脂肪率。それらのバランスを、時間をかけて探し出し、味の決め手となる生クリームに辿り着いたのだそう。
生クリームのおいしさを引き立てるのは、イタリア産マスカルポーネチーズとオーストラリア産クリームチーズの2種のチーズ。乳脂肪分が高く、濃厚なマスカルポーネチーズは口溶けのいいレアチーズに、クセのないクリームチーズは、コクとしっとり感のあるベイクチーズに使用。この二層のチーズケーキのほどよいバランスと、北海道産の生乳で作った生クリームにより、しっかりとしたミルク感と飽きのこないシンプルなおいしさを実現しているのです。
道内の洋生ケーキ取扱店舗では、生タイプの「ドゥーブルフロマージュ」を販売。生タイプは天面に生クリームを一つ一つ絞り、ふわふわのスポンジクラムが全体を包み込むことでよりなめらかでとろけるような口溶けを楽しむことができます。また、フレーズドゥーブル、メロンドゥーブル、ナイアガラドゥーブルなど、季節限定のフレーバーも登場するので、こちらもぜひチェックしてみてください。
春限定の「フレーズドゥーブル」2,376円
チョコレートとチーズの贅沢二層仕立て「ショコラドゥーブル」
「ショコラドゥーブル」2,484円
「ドゥーブルフロマージュ」のリピーターの方、チョコレート好きの方に一押しなのが「ショコラドゥーブル」です。芳醇なチョコレートに素材の味を引き立てるクリームチーズを合わせた重厚感のあるショコラベイクドチーズと、ミルキーなマスカルポーネムースを重ねた二層仕立てのこちら。
カカオの深みあるほろ苦さとチーズのまろやかさが調和した絶品スイーツです。
ダージリンが香る大人味のチョコレート「ロイヤルモンターニュ」
「ロイヤルモンターニュ」1,188円〜
先述の通り、チョコレート工場から始まったルタオはチョコレートスイーツにも力を入れています。中でもルタオを代表するチョコレートが「ロイヤルモンターニュ」です。
21.9℃でなめらかに溶け出し、ダージリンの香りが口の中に広がります。カカオ豆は、ダージリンを引き立てるためオリジナルにブレンド。口に入れるとなめらかに、そしてまとわりつくように溶けることで、華やかなダージリンの香りをしっかりと感じられます。
チョコレートなのにあふれる果汁感?!「レアチョコレートナイアガラ」
「レアチョコレートナイアガラ」1,188円
ルタオ特製生クリームで作る生チョコレート「レアチョコレートナイアガラ」も人気の商品。北海道ではおなじみの力強い味わいのナイアガラワインとチョコレートを合わせた一品で、まるで本物のブドウを頬張ったかのような瑞々しい爽やかさが口いっぱいに広がります。チョコレートなのにあふれる果汁感に驚きを隠せないはずです。
小樽と新千歳空港内には、定番のチョコレートをはじめ、限定チョコレートやテイクアウトスイーツを揃えたルタオのチョコレートスイーツ専門店「ヌーベルバーグルタオショコラティエ」もあるので、ハシゴして楽しむのもいいかもしれません。
ヌーベルバーグルタオショコラティエ小樽本店
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ライタープロフィール
札幌在住ライター 高島 夢子
佐賀県生まれ。同志社大学文学部西洋文化史学科卒業。大手旅行代理店での勤務を経て、京都の出版・編集プロダクションにてエディター・ライターとして経験を積み、2022年に独立。2024年、好きが高じて北海道へ移住する。旅、食、文化などのコンテンツを中心に、書籍、雑誌、Webメディアで記事を編集・執筆する。