Domingo 記事
「とあるタコスに衝撃を受けた」帯広・北の屋台に誕生したモダンメキシカン『ルチャリブレ』 フレンチシェフが挑む新たなジャンル
東京で出会った“一枚のタコス”
さまざまなお店でシェフの経験を積んだ阿坂シェフ
阿坂シェフは、帯広のフレンチレストラン地中海料理店「かぼす」で2年、「マリヨンヌ」で2年ほど修業し、その後、中札内「フェーリエンドルフ」のレストランでシェフを経験。料理人として約8年のキャリアを積んできました。「料理人になりたい」という気持ちと同じくらい、「自由な経営者として独立したい」という思いを抱き、料理の世界へ飛び込んだといいます。
帯広にある「北の屋台」への応募を決心した頃、自身のお店のテーマを考えるために東京でさまざまなお店を食べ歩きました。
店名の「ルチャリブレ」はメキシコ発祥のプロレスの名称で「自由な戦い」という意味
「もともとレモンやライムなど柑橘が好きで、お店でも使いたいと思っていました。メキシコ料理は、さまざまな文化を受け入れながら発展してきた料理です。その自由さにも惹かれました」そんな中で出会ったのが、東京の「Los Tacos Azules」のタコスでした。
「一口食べて衝撃を受けました。多国籍料理として幅広くやるのではなく、一つのジャンルを深く掘り下げたいと思っていた自分にぴったりだったんです。」帯広ではまだ珍しいメキシコ料理だからこそ、自分なりの答えをつくっていける。そう考え、モダンメキシカンという道を選びました。
タコスは季節によって変わる。具材がゴロゴロしていて食べ応えのあるタコス「ニジマスとアスパラ」700円
フレンチの技術が生み出す、新しいタコス
優しい味わいの牛ブリスケットのタコス 「スアデロ(牛バラとワカモレ)」700円
現在の「ルチャリブレ」では、モダンメキシカンとワインを中心に提供。ハーブやグレープフルーツ、ライムなどの柑橘を積極的に取り入れながら、食材はできる限り北海道産・十勝産を使用。柑橘類は愛媛県や山口県の生産者から仕入れ、地元食材を大切にしながらも、メキシコ料理に欠かせない素材は信頼する国内の生産者から選んでいます。
どよい辛さ。きゅうりの下味も美味しい「ホタテのセビーチェ」900円
阿坂シェフは、タコスを「皮・野菜のピューレ・タンパク質・サルサ」という構成で考えています。実はこの考え方は、フレンチのコース料理を組み立てる発想とよく似ています。だからこそ、ルチャリブレのタコスは、フレンチの技術を知る阿坂シェフだからこそ生み出せる一皿なのです。
ワインは1杯800円~。8種類ほどがグラスで楽しめる
「タコスは、温かいものと冷たいものが一緒になっていて、一番おいしい瞬間はほんのわずか。ハンバーガーや恵方巻きのように、おいしさのピークが短い料理です。でも、その一瞬がおもしろいんです」。自由な料理だからこそ、自分らしい表現ができる。その考え方は、阿坂シェフ自身の歩みとも重なります。
料理も空間も。"好き"を詰め込んだルチャリブレの世界
カラフルなストライプが目印の外観
料理だけでなく、お店づくりにも阿坂シェフらしさが表れています。外壁のストライプ柄は、ポール・スミスのデザインやMr.Childrenのミュージックビデオから着想を得たもの。店内には座り心地のよい椅子が並び、ショーケースには映画『スター・ウォーズ』の好きなシーンを再現したジオラマが飾られています。
ショーケースに並ぶ映画『スター・ウォーズ』の好きなシーンを再現したジオラマ
音楽は黄色いレコードプレーヤーから流れ、24分ごとにレコードの針を戻しながら店内に音を届けます。どこか少年時代の憧れや懐かしさを感じさせる一方で、不思議と落ち着く空間。その雑多さも含めて、「好きなものを集めたらこうなった」という阿坂シェフらしい世界観が広がっています。
メキシカンにあうテキーラも豊富
今だから味わえる、北の屋台だけのモダンメキシカン
香ばしい美味しさ「イカのソテー」800円
「もともとはフレンチを専門にしていましたが、今はモダンメキシカンに挑戦しています。フレンチ一本で進むのもかっこいい。でも、ほかのジャンルに挑戦するなら今しかないと思いました。北の屋台を卒業した後は、この経験を生かしたコース料理のお店をやりたいと思っています。」と、フレンチの技術を土台に、新しいジャンルへ挑戦する阿坂シェフ。
毎回内容変わるお通し「ポテサラ」500円
ハラペーニョでスパイシー。柑橘ですっきり「南米風なめろう」800円
北の屋台という場所だからこそ生まれた、自由な発想のモダンメキシカンは、今だからこそ味わえる一皿です。帯広の夜、新しい食の楽しみに出会いたい人は、ぜひ「ルチャリブレ」を訪れてみてください。
※記載の金額は全て税込価格です。
※掲載情報は記事公開時点のものです。
ルチャリブレ
■所在地:帯広市西1条南10丁目7 北の屋台
■営業時間:17:00〜25:00(L.O.24:00)
■定休日:水曜
「ルチャリブレ」の詳細や地図情報はこちら
ライタープロフィール
鹿女 / 編集者 中村 まや
宮城県出身。グルメメディアの編集者から猟師へと転身。”鹿女まやもん”という愛称で親しまれている。おいしく命をいただくことをモットーに、鹿を獲るところから精肉まで一貫して行う。また、ロゴやパンフレットのデザイン制作やライター業、イベントの企画運営などフリーランスの編集者としても積極的に活動している。
