Domingo編集部
明治時代の北海道を舞台に、アイヌ民族が残したとされる金塊を巡る争奪戦を描いた野田サトル氏の人気漫画『ゴールデンカムイ』。シリーズ累計発行部数は驚異の2900万部(2024年8月現在)を突破し、2024年1月に公開された実写映画は、興行収入30億円を記録する大ヒット。同年10月からWOWOWで放送中のドラマシリーズも話題沸騰中です。そんな『ゴールデンカムイ』の世界をより深く味わえるのが、舞台となった小樽の聖地巡礼。本記事では、小樽市内の聖地巡礼スポットを詳しくご紹介します!
野田先生の色紙も!明治期の小樽を知る「小樽市総合博物館 運河館」
最初にぜひ訪れたいのは、小樽運河沿いにある「小樽市総合博物館 運河館」。明治期に金融とニシン漁で栄えた小樽の歴史や自然についての資料や展示が充実しています。「明治後期の小樽は金融街のイメージが強いですが、一攫千金を夢見て荒くれ者たちも集まり、雑多でアナーキーでエネルギッシュな街だったんです」と語るのは、博物館の石川直章館長。昔の街並みの写真資料や、当時使われていた道具など、明治期の小樽がどんな様子だったのかを知ることで「ゴールデンカムイ」の世界観がより深く理解できそうです。
漫画や映画、ドラマの制作にあたり、作者の野田サトル先生をはじめアニメや実写のスタッフも足を運び、明治時代のリアルな資料を徹底的に取材。その熱心さに石川館長も「ここまで徹底して調べるのか」と驚いたそう。寄贈されている野田サトル先生の直筆色紙は、褪色防止のため不定期に期間限定で展示中。現在の展示は2025年1月22日(尾形百之助誕生日)までを予定しています。
小樽市総合博物館 運河館
■所在地:小樽市色内2丁目1の20
■入館料
一般300円、高校生・市内在住70歳以上150円、中学生以下無料
■開館時間:9:30~17:00
■休館日:年末年始
作中トップクラスに個性的!辺見ちゃんの名シーンが蘇る「祝津エリア」
小樽市街からバスで20分の祝津エリアには、ドラマ第2話のロケ地が点在。海鮮料理でいつも人気な「青塚食堂」の前浜では、入墨の囚人・辺見和雄が働いていたニシン漁場のシーンが撮影されました。また、小高い丘の上の「小樽市 鰊御殿」でもロケが行われましたが、現在は休館中で立ち入ることができません。
鰊御殿のすぐ近くにある「旧白鳥家番屋」もドラマに登場したスポットで、外観を見学できる他、荒々しい前浜でもロケが行われたので散策しながらドラマのシーンを振り返ることができます。さらに近くには「おたる水族館」もあり、観光とセットで訪れるのもオススメです。
ニシン漁の栄華を感じる豪邸「旧青山別邸」
祝津の浜から徒歩で10分ほど山側へ登ると「にしん御殿 小樽貴賓館」があります。こちらの敷地内には「旧青山別邸」があり、有料で内部が公開されています。原作では辺見が雇われていたニシン漁の親方の豪邸として登場。鶴見中尉がピアノを弾いていた部屋や、コミック4巻の裏表紙に描かれた枯山水の庭、アシリパが驚いた豪華なトイレのモデルとなっています。
※アシリパの「リ」は小文字
「旧青山別邸」は、明治・大正時代にニシン漁で巨万の富を築き上げた青山家の別荘として建てられ、国の登録有形文化財にも指定されています。贅を尽くした北海道屈指の美術豪邸と言われ、建物内部はケヤキやヒノキ、白檀や紫檀など高級な木材や、有名画家や書家の作品がふんだんに使われています。建物や調度品が見応えたっぷりで、建築や美術品に興味がある人にもオススメです。 なお、一般見学の際には写真撮影は禁止されているのでご注意ください。
小樽貴賓館(旧青山別邸)
■所在地:小樽市祝津3丁目63
■入館料
大人(中学生以上)1300円、小学生 650円、未就学児無料
■開館期間:11月~3月/9:00~16:00、4月~10月/9:00~17:00
■休館日:1月1日~7日
「小樽浪漫館」「大正硝子館本店」「小樽市総合博物館 本館」など、まだある有名聖地
観光客で賑わう小樽堺町本通り沿いにあるのが「小樽浪漫館」。外観に、ピンと来るファンも多いのではないでしょうか。そう、ここは原作や映画で土方歳三が愛刀・和泉守兼定を取り戻しに襲った銀行のモデルで、中はアクセサリーとガラス雑貨のお店になっています。また原作に登場した防火壁「うだつ」があるのは「大正硝子館本店」。明治39年に建てられた名取高三郎商店を改装し、手作り硝子を展示販売しています。
さらに、時間があればぜひ立ち寄りたいのが「小樽市総合博物館 本館」。冒頭で紹介した運河館からは徒歩でおよそ20分ほどの距離がありますが。ここには原作ファン必見の蒸気機関車「しづか号」が展示されています。クライマックスで死闘が繰り広げられる蒸気機関車のモデルで、土方や第七師団、杉元たちの最後の闘いが蘇ります。
小樽市総合博物館 本館
■所在地:小樽市手宮1丁目3-6
■入館料
一般400円(冬期300円)、高校生・市内在住70歳以上200円(冬期150円)、中学生以下無料
■開館時間:9:30~17:00
■休館日:火(祝の場合翌平日)、年末年始
締めくくりは甘味スポット「新倉屋 花園本店」で
そして聖地巡礼の最後は、ぜひ花園町にある「新倉屋 花園本店」へ。作中で鶴見中尉が杉元に尋問するシーンでは、花園だんごが重要な小道具として登場しています。店内には喫茶スペースがあるので、名物の花園だんごを食べながらゴールデンカムイ旅を締めくくりましょう。
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ライタープロフィール
編集&ライター 高島 ユカ
広告代理店→雑誌編集部を経てフリーの編集&ライターに。旅行雑誌や住宅建築雑誌、音楽系記事、各種広告記事などを手がける。おいしいものを食べるのが大好きな札幌在住の道産子。