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Domingo編集部
札幌シメパフェ巡りの第2弾としてご紹介するのは、札幌市内某所にある会員制のパフェバー「Remake easy」(リメイクイージー)。住所非公開、会員制というちょっと特殊な業態のため謎が多く、行ったことはないけど興味はある…という人も多いかもしれません。今回は、秘密の隠れ家感あるお店の様子やこだわりのパフェとお酒、オーナーパティシエの林さんへのインタビューと合わせてご紹介します。
住所非公開&会員制パフェバー「Remake easy」に入らせてもらうと…
Remake easyはパフェとお酒のペアリングを楽しむ会員制のパフェバー。札幌店は2023年9月にオープンしました。
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2025年のさっぽろ雪まつりに登場した「雪パフェ」
2024年のオータムフェストではおよそ10,000個ものパフェを販売し、2025年のさっぽろ雪まつりでは大通公園10丁目会場に「雪パフェ」を出展したことでも話題に。お店の場所は非公開のため詳細はお伝え出来ないのですが、すすきの駅から徒歩3分ほどの場所にあるビルの一室です。秘密の隠れ家っぽい!
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大人な雰囲気の店内。秘密の隠れ家感たっぷり
会員権(会費)は月額3,300円(税込)で、会員権を購入した店舗のみ利用できる仕組み。会員募集は不定期で、会員枠に空きが出た分だけ抽選を行います。会員になると、同伴者3名まで一緒に来店できます。ひとりでふらりと来るのはもちろん、カップルで来店したり、女子会をしたり、あるいは札幌旅行に来た友人知人を連れてきたり…といろいろな使い方ができそう。
芸術作品のようなパフェを実食!
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さっそく始まったパフェづくり。待つ時間も楽しみのひとつです
パフェはカウンター越しに目の前で作られます。繊細かつ大胆な手さばきで、グラスの中にさまざまなパーツが加えられていきます。
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自分のためのパフェが目の前で作られる幸せ
今回はオーナーパティシエ・林さんの手仕事を楽しめました。店内の照明は控えめながらも真上から光が当たる設計になっているので、パフェを美しく眺め、写真に撮ることができます。
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中までたっぷり並べられるイチゴ
想像以上にイチゴがたくさん入ります。ひとつのパフェにパックの半分ほどのイチゴが使われているのだそうです。
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細かな作業もすごいスピードで進んでいきます
手仕事のライブ感を楽しんでいるうちに、あっという間にパフェが完成しました。
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Remake easyを代表する「イチゴの花畑パフェ」(3,500円・税込)
Remake easyのアイコン的存在の「イチゴの花畑パフェ 」(3,500円・税込)です。ナデシコの花と銀箔をアクセントに、たっぷりのイチゴが並んでいます。
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まさに花畑のような雰囲気。思わず見とれてしまうかも
中には濃厚なバニラアイスクリームとホワイトチョコレートのムース、ほんのりとアーモンドエッセンスのような香りが広がるアマレットのムースとサクサクした食感のクランブル。クランブルはバターとホワイトチョコレートで薄くコーティングされているため、水分を吸うことなくサクサクの食感が続くのだそう。
また、グラスの底に入っているのは、すっきりとした酸味のフランボワーズのジュレです。食べ終わった後には、さわやかさだけでなく濃厚なクリームやアマレットの風味、イチゴの香りなどの心地よい余韻が感じられました。
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ペアリングのカクテル「アマレットジンジャー」(1,430円・税込)
ペアリングのカクテルにはアマレットジンジャー(1,430円・税込)をいただきました。ベースのアマレットはイチゴの花畑パフェにも使われているため、相性ぴったり。ノンアルコールのカクテルもあります。
魅惑のパフェは全部で3種類
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「日本酒とメロンのクレームダンジュパフェ」(3,500円・税込)
Remake easyでは、今回いただいたイチゴの花畑パフェを含めて全部で3種類のパフェが用意されています。店舗ごとに限定メニューがあり、札幌店だけで食べられるのが「日本酒とメロンのクレームダンジュパフェ」(3500円)。日本酒として千歳鶴の純米大吟醸を使った、札幌らしさあふれるメニューです。ペアリングには、同じ日本酒を使ったカクテルがおすすめなのだそう。雪に覆われた冬の北海道をグラスに閉じ込めたような、ロマンティックで美しいパフェです。
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「クランベリーと凍頂烏龍薫るビーントゥバーチョコレートパフェ」(3,500円・税込)
2月の限定メニューは「クランベリーと凍頂烏龍薫るビーントゥバーチョコレートパフェ」(3,500円・税込)。ビーン・トゥ・バー(Bean to Bar)とは、カカオを豆(Bean)の状態で仕入れ、加工して板状のチョコレート(Bar)にするまで一貫して行うこと。このパフェのために作られたRemake easyオリジナルのチョコレートに、台湾のウーロン茶である凍頂烏龍茶とクランベリーを合わせたバレンタインシーズンらしいパフェです。
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タブレットに表示された豊富なドリンクメニュー
パフェにはおすすめのペアリングカクテルが用意されていますが、ほかにもいろいろなドリンクメニューがあります。もちろん食後酒として好きなお酒を追加してもOKです。
オーナーパティシエ・林巨樹さんとは
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札幌店のカウンターでパフェを作る林さん
リメイクイージーの創業者であるパティシエ兼CEOの林巨樹(はやし・おおき)さんは千葉県出身の29歳。辻調グループのエコール辻東京を卒業した後、19歳でフランスへ渡り修行。日本へ帰国後に東京のケーキ店でも修行を重ね、2018年に「ルクサルド グラン プレミオ」洋菓子コンクールに最年少での入賞を果たした敏腕パティシエです。
クラウドファンディングで資金を集めて渋谷に出店した「Remake easy」が話題となり、今では東京・大阪・名古屋・札幌に計6店舗を展開しています。…という何だかすごい人なのですが、経営者としての顔を持つ現在でも毎月限定のパフェを企画し、必要な素材を集めたり仕込みをしたり、全国の店舗を回ったりとパティシエとして最前線に立ち続けています。
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買い付けたカカオ(右)、ローストしたカカオ(中央)、完成したチョコレート(左)
林さんのこだわりは至るところにあり、たとえば2月の限定パフェに使われている「ビーントゥバーチョコレート」もそのひとつ。ベネズエラの良質なカカオを生産者から買い付け、林さん自らローストしてすりつぶし、細やかな温度管理のもとでチョコレートを作っています。豆の状態を見ながら煎り方を調整できるビーントゥバーチョコレートは、パティシエの腕の見せどころ。製品化されたチョコレートをヨーロッパなどから取り寄せるのに比べて新鮮なチョコレートを使えるメリットに加えて環境負荷も少ないものの、とっても手間がかかります。
専門のショコラティエではないのに、期間限定のパフェに使うチョコレートを自ら作る。そんなこだわりがRemake easyのパフェにはつまっているのです。
冷たいグラスからあふれ出す、熱い熱いパフェへの思い
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楽しそうに接客する林さん。お客様とのトークも盛り上がっていました
林さんのパフェづくりは、グラスの中に様々な素材を詰めこんで、ひとつの世界を、あるいは宇宙を作るような作業です。パフェへのこだわりと情熱のもとには何があるのかたずねてみました。
「完璧、完全を意味するパーフェクトが語源であるパフェは、100年前にフランスで生まれたものですが日本独自のデザートとして発展してきました。子供のころに喫茶店で食べたコーンフレークと缶詰のフルーツが入った昭和感あるパフェや、中高生のころ親しい友人みんなでつついた巨大なジョッキに入ったパフェ。多くの日本人がそういった幸せな思い出を持っているのではないでしょうか。」
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ひとつひとつ目の前で仕上げられるパフェたち
「そんなすばらしい日本の食文化であるパフェを、今ここで再構築(=リメイク)したいという思いがあります。パフェというものを見つめ直し、お菓子を作る工程やパティシエのありかたも再構築したいと考えています。材料の生産者から作り手、お店に来てくれるお客様までRemake easyに関わる人すべてが豊かになり、『おいしい』をずっと持続させるために何をすべきかを問い、必要な取り組みを続けていきたいです。」
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禁酒法時代の秘密のバー「スピークイージー」を思わせる「Remake easy」のロゴ
食材や生産者へのリスペクト、環境負荷にも思いをめぐらせてパフェを作る林さん。美しくておいしいパフェが食べられるという点で申し分ないRemake easyですが、背景にあるそんな熱い思いも知った上で訪ねてみると、また違う手ごたえを感じる時間が過ごせるかもしれません。今回の取材を通して、パフェのもつパワーや可能性を改めて感じました。そしてとってもおいしかったです!
Remake easy札幌店は2月末日まで会員募集中!
なお2025年2月現在、Remake easy札幌店は入会申し込み受付中です。申し込み受付期間は2月28日(金)23:59まで。公式サイトから申し込み後、抽選となります。気になる人はぜひチェックしてみてください。
Remake easy札幌店
■所在地:非公開
■営業時間:平日:17:00~24:00 / 休日:13:00~24:00
■定休日:不定休
ライタープロフィール
札幌在住ライター 羽田 さえ
岐阜県出身。2021年に熊本から札幌へ転居し、北海道の広さとおいしさに驚愕。グルメ、旅行、農業、不動産を専門とするフリーライター。