Domingo 記事
全国屈指の“酪農王国”として知られる北海道・道東の中標津町。その中心市街地にある「ushiyado」は、現役の酪農家が開いたゲストハウスです。牛舎をイメージしたキッチンや牛の品種名がついた客室、さらに牧場でエサやりを体験できる「朝の牧場散策」やバター作り体験など、酪農家の暮らしに触れられるアクティビティも人気です。宿に泊まるだけで、牛とともに生きる町の文化に触れられる新しい滞在拠点をご紹介します。
酪農家が“街中”に作ったゲストハウス
牧場にある家型の牛舎をイメージして作ったキッチンスペース「ushigoya」
中標津町の中心部に位置する「ushiyado」は、その名の通り「牛」にちなんだ工夫がたくさん散りばめられているゲストハウス。運営するのは、中標津町・竹下牧場の竹下耕介さん。20年以上前に父から牧場の経営を引き継いだ竹下さんは、2018年に同施設をオープンさせました。
「酪農家さんがなぜゲストハウスを?」といった理由は、竹下さんが生まれ育った環境にあります。先代である竹下さんのお父さんは、母校・宮崎大学の後輩を研修生として積極的に受け入れてきていました。その姿を見ていた竹下さんには「牧場に興味がある人を歓迎したい」という気持ちが当たり前にあったのです。
しかし、当初は「ファームイン」と呼ばれる農家民宿を構想していたという竹下さん。方向転換をすることになったきっかけは、あるゲストハウスとの出会い。当時の竹下さんが思い描いていたゲストハウスのイメージは「バックパッカーが泊まる安宿」でしたが、宿泊客以外の老若男女が集う開かれたゲストハウスに出会ったことで、「新たな時代を作る可能性」を感じたのだといいます。
「ushiyado」にも観光やビジネス、長期滞在など、さまざまな目的を持った人が訪れる
また地域に根差して酪農を行う中で、中標津の町づくりにも関心を持っていた竹下さんは「町を盛り上げられるような宿を作りたい」と考え、それがのちに宿を拠点としながら町を楽しめる「ushiyado」のコンセプトに。よく「牧場の隣にあるわけじゃないんですか?」と聞かれるそうですが、街中に位置する背景には、町への想いがあったのです。
“牛”を感じる工夫が散りばめられた客室やラウンジ
酪農を主要な産業とする中標津。そんな町への想いが込められた「ushiyado」では、お部屋の名前も牛にちなんだユニークなものばかり。たとえば、各6名が利用できる男女共用・女性専用のドミトリーの名前はそれぞれ「ホルスタイン」と「ブラウンスイス」。牛舎の中で眠るイメージで作ったスチール製のオリジナルベッドを採用しています。
男女共用のドミトリー「ホルスタイン」。上半身を起こして座っても圧迫感が少ない空間づくりを目指した。
また、3部屋ある個室も「ジャージー」「モンベリアード」「和牛」と、牛の品種の名前がつけられています。いずれも2名定員のお部屋ですが、「ジャージー」は布団敷きの部屋で、「モンベリアード」はシングルのベッドが2つ並んでいるお部屋、「和牛」はスチール製の2段ベッドとソファがあるお部屋と、それぞれに特徴があります。
布団敷きの個室「ジャージー」
シングルベッドが2つ並ぶ個室「モンベリアード」
「モンベリアード」のワークデスクとチェア。このワークデスクとチェアは全個室共通の仕様
スチール製の2段ベッドとソファがある「和牛」
なお、「和牛」はソファの代わりにエクストラベッドを入れることで最大3名まで宿泊できるとのこと(要事前予約)。また、ベッドから落ちる危険がある小さなお子様連れの方は「ジャージー」に宿泊することをおすすめしているそうです。人数やそれぞれの要望に応えられる選択肢が用意されています。
続いてご紹介する共用部のラウンジは主に、家型の牛舎をイメージして作ったキッチンスペース「ushigoya」と、大きめのテーブルが2つ置かれたダイニングスペース「ミルクパーラー」の2エリアに分かれています。「ミルクパーラー」では食事をしたり仕事をしたりと宿泊客は思い思いに過ごしやすい空間に。
キッチンスペース「ushigoya」
ダイニングスペース「ミルクパーラー」
また、白い壁面に映像を投影できるプロジェクターを備えており、利用料金を支払えば、ワークショップやイベントにも使用できます。地域の方がイベント利用することもあり、宿泊客と地域住民の“汽水域”としても機能しているようです。
「朝の牧場散策」や「バターづくり体験」で酪農家の一日を体験
『ushiyado』で牛の存在を感じられるのは、施設の形状や部屋の名前だけではありません。「朝の牧場散策」ではエサやりや牛たちとのふれあいなど、酪農家の日常を体験することができます。「朝の牧場散策」は1週間前までの予約制、かつ開催時期が限られているなど、一定の条件が揃ったときにだけ開催される貴重なアクティビティのため、早起きが得意で、市街地から車で約20km離れた牧場まで自力でアクセスできる方はぜひチャレンジしてみてください。
また、「朝の牧場散策」のほかにも、中標津で限定製造している貴重な中標津生クリームを使ってバターを作る「バター作り体験」もおすすめ。こちらも完全予約制のため、興味のある方は2週間前までに申し込むようにしましょう。
市内の飲食店と連携「宿を拠点にして、町に繰り出してほしい」
「中標津の町を楽しんでもらえるように」と宿が持つ機能を最低限に抑えたという竹下さん。バターづくり体験で作った、できたてのバターを乗せたトーストとなかしべつ牛乳、takeshita farmのポタージュスープを味わえる「のんびり朝食」の機会は提供していますが、基本的に食事をするときは町の中の飲食店や、宿泊客から「ユニークなアイテムが多い」と評判の「東武サウスヒルズ」をはじめとしたスーパーを利用してほしいと話します。
竹下さんによれば、おすすめは「2日連続で同じ飲食店を利用すること」だそう。中標津町は2026年現在で、町制施行から80年も経っていない比較的新しい町だということもあり、外から来た人に対して親切な人が多く、「2日連続で行けば、地域の飲食店のほとんどの人が気さくに話しかけてくれます」と竹下さんは話します。また、中標津は商業的にも恵まれた町で、飲食店や日帰り温泉が多く、現在も新しいお店も続々とオープンしているのだとか。
中標津という町を、その主要産業である酪農を身近に感じるために。牛に興味がある人も、そうでない人も、「ushiyado」を拠点に“町で遊ぶ”を楽しんでみてはいかがでしょうか。
ushiyado
■所在地:北海道標津郡中標津町東3条北1丁目4-2 2F
■電話番号:0153-77-9305(予約専用)
■チェックイン時間:最終受付 19:00
※19:00を過ぎる場合は、必ずご連絡ください。
「ushiyado」の詳細と地図情報はこちら
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ライタープロフィール
佐々木ののか
1990年北海道音更町生まれ。大学進学とともに上京し、2015年からフリーライターとして独立。2021年にUターンし、現在は生まれ故郷の十勝にて、馬1頭、猫2匹、子1人とともに暮らしながら、冬は狩猟者として鹿を追っている。著書に『愛と家族を探して』『自分を愛するということ(あるいは幸福について)』(ともに亜紀書房)などがある。
