「新しい消費」と「関係人口」が創り出す、十勝と全国をつなぐ新たなライフスタイルの形とは  十勝シティデザイン創業者、柏尾哲哉さんインタビュー|Domingo

「新しい消費」と「関係人口」が創り出す、十勝と全国をつなぐ新たなライフスタイルの形とは 十勝シティデザイン創業者、柏尾哲哉さんインタビュー

ひと

まち

/

帯広市

――「HOTEL NUPKA(ヌプカ)」にも地方と人をつなげる、帯広を盛り上げるという思いがありますが、その一つの集大成が「新しい消費」といえるかもしれませんね。

柏尾:そうですね。十勝は北海道内でも元気がある地域ですが、人口減少や中心部の衰退といった課題もあります。しかし、農業や食に関しては非常に豊かな資源があります。私たちのホテル「HOTEL NUPKA」は、地域内外の人々が交流し、新しいコミュニティを築くための拠点としての役割を果たしています。旅行者がこの地に訪れ、さらに関係人口として地域と関わりを深めたり、移住を考えるきっかけになることを目指しています。単なる宿泊施設ではなく、地域活性化のハブとして機能したいと思っています。

HOTEL NUPKA

――かつて「鉄道」がそうであったように、人が集まる「ホテル」が街を作っていくと考えると面白いですね。現代における役割が、鉄道からホテルに移り変わっていった印象です。

柏尾:確かにそうですね。150年ほど前までの北海道は一面の原生林に覆われていました。しかし、明治時代に鉄道が敷かれると、物流と人の移動が一気に活発化しました。鉄道駅は町の中心となり、駅周辺には商店や住民が集まってコミュニティが形成されていきました。しかし、現代の地方社会では車移動が主流となり、駅周辺の中心市街地は次第に空洞化が進んでいます。車社会では、すれ違っても人との交流が生まれにくく、孤独になりがちです。

HOTEL NUPKA

その点、ホテルがある町の中心部は、公共交通機関や飲食店が集まりやすく、旅行者や歩行者にとって便利な場所です。そこでは人と出会ったり、自然に会話が生まれたりと、非常に人間らしい交流が促されます。ホテルは単なる宿泊施設ではなく、地域の「ハブ」としての役割を果たし、人々が集まり、情報やアイデアが交換される場となります。さらに、新しい取り組みやプロジェクトが生まれることも多いです。こうした人々の交流が、新しい価値を生み出し、「新しい消費」を促進していく。これこそが、これからのホテルの役割だと信じています。

HOTEL NUPKA

地域と人のつながりを創り出しているNUPKA

新しい消費で「消費者と生産者の双方が豊かな生活を実現できる世界を目指す」

――いろいろとご説明いただきありがとうございました。今後、「新しい消費」はどのように展開されていくのか、その未来についてお考えをお聞かせください。

柏尾:ここまでは「新しい消費」を主に国内での取組みとしてお話してきましたが、今後は世界への広がりも視野にいれていけると考えています。例えば、世界中から北海道を訪れる旅行者が「関係人口」として、この地域の事業者や生産者を支援し続ける関係を構築していく未来を描いています。生産者の方々が日々情熱を持って取り組んでいる「ものづくり」は非常に魅力的ですが、それを広めていくためには限界もあります。だからこそ、消費者が「新しい消費」を通じて積極的に地域に関わり、生産者とともに成長していくことが重要です。私たちは、その先に、消費者と生産者の双方が豊かな生活を実現できる世界を目指しています。

行動を通じて知識や経験が蓄積され、地域資源がさらに高付加価値なものに転換されていくと信じています。地域ごとにオンリーワンやナンバーワンの取り組みが全国各地に広がれば、日本全体が新たな活力を持つ国として再生できると確信しています。「新しい消費」のムーブメントが、地域活性化だけでなく、消費者自身のライフスタイルや生きがいにおいても大きな変化をもたらすでしょう。

――素晴らしいビジョンですね。今後の発展に期待しています。本日はありがとうございました。

(インタビュー:山下恭平)

柏尾 哲哉
十勝シティデザイン株式会社/ホテルヌプカ 創業者

柏尾哲哉

帯広市出身。東京で弁護士として活動しながら、2014年に十勝シティデザイン(株)を同郷の坂口琴美と共同で創業。短編映画(my little guidebook)の製作(2013年)、コミュニティ型ホテル「ホテルヌプカ」の開業(2016年)、十勝産大麦を使ったクラフトビール(「旅のはじまりのビール」)の企画・販売(2016年)、十勝の輓馬が曳く馬車BARツアー事業など十勝・帯広を拠点に注目の取組みを立て続けに開始。2020年のふるさと企業大賞(総務大臣賞)受賞、帯広市・第一生命とワーケーション推進連携協定を締結し関係人口拡大に向けた取組みを本格化。2021年4月に開業した新館「NUPKA Hanare」を活用するワーケーション推進事業が、内閣府の地方創生関係人口実証実験に採択され注目される。2022年より「帯広中心市街地の将来構想を考える会」を主催

EVENT NUPKA MARCHE from 十勝

NUPKA MARCHE

「知って、広める」新しい消費の仕組みと「関係人口」で、十勝・帯広とつながろう!

十勝・帯広で、世界から訪れる人たちを「暮らすような旅」でおもてなしするホテル、HOTEL NUPKA(十勝シティデザイン運営)。そんなNUPKAがオススメする自然豊かな十勝でつくられた豊かな食の数々が札幌に集結。

販売や試食・試飲はもちろん、モーニングイベントやトークも。十勝・帯広の魅力を存分に感じてください。

■開催日:2024年10月12日(土)・13日(日)
■開催時間:11:00-16:00
■会場:D-LIFEPLACE札幌 B1F(北海道札幌市中央区北3条西4-1-4)
※チ・カ・ホ直結、地下鉄「さっぽろ」駅10番出口直結)

<ミニイベントも開催!>

■パネル展示
10月10日(木)~13日(日)※最終日は16:00まで

十勝シティデザインと第一生命のコラボで生まれた「NUPKA Hanare」から「関係人口」「新しい消費」への広がりなどをパネル展示。地域と都市とが連携する「新しい未来」を提言します。

■モーニングトーク&イート
10月11日(金)8:00~10:00

十勝からお届けする軽食&ドリンクを片手に、十勝・帯広で農業/食/観光分野で新たな取組みに挑戦する地域事業者の紹介と、「新しい消費」及び「関係人口」に関するトークセッション。

■ミートアップ&トークイベント
10月11日(金)18:30~20:00

十勝の農業を支えた馬文化の記録を残す短編映画「馬橇の花嫁」の紹介。札幌国際短編映画祭での上映前日に逢坂芳郎監督をお招きしてのトークセッション。「新しい消費」及び「関係人口」に関する取組み紹介も交えながら。

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