頑張った分だけ、自分に返ってくる!利尻町、寿都町で漁業を仕事にする【北の大地のジョブサロン(3)】|Domingo

頑張った分だけ、自分に返ってくる!利尻町、寿都町で漁業を仕事にする【北の大地のジョブサロン(3)】

イベントレポート

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北海道

北海道の農林漁業の魅力を伝え、交流することを目的として北海道庁が主催するオンラインイベント「北の大地のジョブサロン」第3回のイベントレポート!
第3回のテーマは「漁業編」、ゲストは利尻町で昆布漁師をしている中辻 清貴さんと、寿都町でホッケや鮭などを獲る森 貴紀さん・未沙さんご夫婦。
漁業にを仕事にしようと思ったきっかけや、仕事のやりがい、暮らしの工夫などについてお聞きしました。

中辻さん 中辻漁業部/利尻町 中辻 清貴 さん

神戸の水産会社から海産物の買い付けで利尻に通ううち、利尻昆布漁の後継者が不足している現実を知り、利尻島へ移住。親方の元での修行を経て昆布漁師になる。現在は自身も親方となり、天然コンブ・養殖コンブの漁やウニ漁を行い、異業種からの転職者・移住者を受け入れている。

利尻町の漁業について

利尻は漁業と観光の町で、特産品は利尻昆布です。 昆布を干す風景は、利尻の夏の風物詩となっています。 昆布の他にはウニが有名で、エソバフンウニ、キタムラサキウニの漁が夏場に行われている。 利尻昆布を食べて育っているのでまろやかで濃厚な味わいです。たこ、なまこ、ホッケ、アワビなども獲れます。

利尻町で漁業を仕事にしようと思ったきっかけ

僕は1981年、大阪府堺市生まれ兵庫県育ち、大学時代は九州で過ごしました。
それから神戸市で会社員として働くなかで、27歳の時に仕事で利尻島を訪れました。これが利尻島との最初の縁です。

共通の知人を介して親方に出会い、利尻島で漁業を仕事にしようと決意しました。
親方は養殖昆布の施設や養殖の事業・技術を引き継ぎたい、育てて継承したいという思いがあり、そういう人を探していたようで、うまくお互いの思いが一致して2009年から研修を開始。
「一から育てるには5年以上かかる」と言われていたのですが、2010年秋頃、親方の体調不良により急遽、養殖昆布を引き継ぐことになりました。それからも親方はいつもアドバイスをくれたり近くでサポートしてくれていました。

中辻さん1

中辻漁業部の仕事

中辻漁業部では、通年で利尻昆布をメインとして仕事をしています。 新しく「漁師になりたい」という方と一緒にやっていこうとなった場合は、本人に漁業権を取得してもらいながら、6月〜9月の漁期にウニや天然昆布を獲ったり、養殖昆布の仕事に1年間を通して携わってもらうという流れになります。

中辻さん2

中辻漁業部で働いている方々について

自分の他に従業員は3人います。また、昆布の引き揚げの時期は人手が必要になるので、地元の人や島外からのアルバイトさんを含めて15~20名程度で作業をします。

従業員の3名について少しご紹介しますと、全員島外から越してきた人です。

1人は神戸にいた頃からの友達で、元プロボクサーの方です。引退を期に、次はどうしようか考えているという話を聞き、昆布漁師をやらないかと誘いました。それからもう7年くらい一緒にやっています。
もう1人は札幌の方で、就業フェアでマッチングしました。5年くらい一緒にやっています。もう1人は漁師ではないのですが、一般の仕事をしてもらうような形で働いてもらっています。

加えて、今は利尻役場の方からの紹介で研修生の若い方が、2週間ほど体験に来ています。
研修生の方や繁忙期のアルバイトの方々が滞在できる場所は用意しているので、期間中はそこで過ごしてもらっています。

中辻さん3

利尻昆布漁とは?

利尻昆布は、大きく「天然」と「養殖」の2つに分けられます。
天然昆布漁では、自生している昆布を夏の時期に収穫します。
そして養殖昆布漁では、稲作でいう「田植え」のような作業と「稲刈り」のような作業を行います。1年の流れをざっくりと説明すると、冬の時期にこどもの昆布をロープに巻きつけ、それを海に出します。それを次の夏にロープごと引き上げてくるという流れです。秋にかけて加工の作業に入り、また冬を迎えます。

利尻昆布は透明で風味の良い出汁が取れるので、主に京都の料亭などに出荷されているようです。

漁師という仕事ののやりがいや魅力

給料面で言うと、サラリーマンのように月々一定の収入ではなく、本人の頑張り次第で良くも悪くもなるところが魅力。
例えば新しく漁師になる方々でも、少しでも多くのウニや天然昆布を引き揚げてくることが自分自身の給料に直結するのです。頑張りが直接反映されるのはやりがいを感じられるところですね。

また、養殖昆布については夏の繁忙期で1年分の水揚げをするので、その期間はとても忙しくなります。その時期に頑張ることができる人でないと厳しいかもしれません。
頑張れなければ、冬の生活が厳しくなるんです。頑張ったことも、頑張れなかったことも、自分に返ってきます。

中辻さん4

他地域から移り住み、漁師になるということ

漁業はそこの地域の財産があるからこそできる仕事です。だからその地域で水揚げをあげるのであれば、その地域にある程度溶け込みながら生活すると言うことが大事ですね。
「自分のこと」だけでなく、同時に「地域のこと」を考え、溶け込んでいく努力が大事だと思います。

溶け込むと言っても、基本的なことをきっちりすることだと思いますよ。顔合わせたら挨拶をしたり、家の周りの草を刈るとか、だらしないと思われないように身の回りに気を使うことが大事かと思います!

森 貴紀 さん 有限会社マルホン小西漁業/寿都町 森 貴紀 さん

小さな頃から釣りが好きで、仕事を辞めて思い切ったことをやろう!と考え、獲る漁業に興味を持ったことから「北海道漁業就業支援フェア」に参加。そこで、定置網漁業や底建網漁業を行う現在の就業先の社長と出会い、夫婦で移住をして1年間の研修の後に就業した。

寿都町の漁業について

寿都町は北海道南西部に位置する町です。ニシン漁で栄えていた歴史があるので鰊御殿などもあります。最近、またニシンも戻ってきたりしています。
水揚げの割合としては、8割がホッケで、いか、鮭、こうなごと続きます。 貝類では、ホタテを年間通して養殖しており、また牡蠣は「寿がき」としてブランド化し、販路拡大に取り組んでいます。夏にはウニが獲れます。

森さん2

寿都町で漁業を仕事にしようと思ったきっかけ

海のない北海道恵庭市で、漁師という仕事にも縁のない家庭で生まれ育ちました。
不動産や空港の警備などの仕事をしていましたが、「魚が好き」「やりがいのある仕事をしたい」という思いから、北海道漁業就業支援フェアに参加しました。そこで今の親方に会って今に至ります。

今まで住んでいた恵庭から比較的近く現実的だったこと、親方の人柄に引かれたことなどから寿都町を選びました。親方が住むところや給料などを具体的に教えてくれ、イメージがわきやすかったことも大きな要因です。
その時はもうすでに結婚していたので、妻に漁師になることや寿都町に引っ越すことを告げるのはとてもドキドキしましたが、比較的すんなりと受け入れてくれてありがたかったです。

森さん1

やりたかったのは、獲る漁業

有限会社マルホン小西漁業では、養殖もやっていますが、メインは「定置網(ていちあみ)」と「底建網(そこたてあみ)」での漁です。
左側の大きい写真はホッケ漁の写真です。ホッケ漁の時期は11〜3月で、底建網で獲ります。写真に写っているのは20〜30トンくらい!行けばだいたい漁獲量はこのくらいです。
右側の写真は鮭で、時期は9〜11月です。鮭や、夏に獲るぶりは定置網で獲ります。 去年のホッケの漁獲量は1000トン程度でした。
養殖も好きですが、自分はやっぱり獲る漁業にやりがいを感じています。獲った時の感動は計り知れません!

森さん3

マルホン小西漁業で働く方々について

親方含めて男性16名が漁に出て、女性3名が選別や事務仕事を行う役割分担で仕事をしています。
男性のうち半分の8名が町外から、そのうち3名が道外からきています。
自分たちのように北海道漁業就業支援フェアをきっかけに来た人は、4名ほど。

森 未沙 さん 有限会社マルホン小西漁業/寿都町 未沙さん

私は、船乗るわけではなく魚の選別や事務的な仕事をしています。 漁業に関わる仕事をすることは全く想定していませんですが、充実していて楽しいです。
最初は正直あまり魚を触ったこともなかったしホッケの姿も知りませんでした。やっていくうちに色々なことを知って、周りの方々もよくしてくれて、仕事にも生活にも慣れて、楽しくなってきました。何と言っても、魚がすごく好きになりました。恵庭にいた頃に食べていた魚とは新鮮さが全然違ったので、本当に魚のイメージが変わりました。

他地域から移り住み、漁師になるということ

基本的にやる気があれば町の人たちに受け入れてもらえると思います!
中辻さんも言っていましたが、まちの人に受け入れてもらえないとなかなか厳しいところがあります。これは寿都町に限った話ではなくどこの地域でもそうだと思います。
挨拶を欠かさずしたり、イベントごとに顔を出したり、素直にまちの人たちと接していけば、伝わると思います!
また住居については、町の定住者促進住宅があります。寿都町は町外からきている人が多いので、かなり制度や設備が整っていますよ。

森さん4

Q&Aコーナー

Q 漁師さんの、忙しい日のスケジュールを教えてください!

中辻さん 中辻漁業部/利尻町 中辻 清貴 さん

忙しい時期は、昆布の引き揚げの時期です!
1年のうち1ヶ月くらいはこのスケジュールで働いています。

午前2時〜2時半…起床
午前3時…出港
午後3~4時…終業

森 貴紀 さん 有限会社マルホン小西漁業/寿都町 森 貴紀 さん

一番忙しいのは夏の時期ですね。

午前4時~4時半…起床
午前5時…出港
午前7時半…帰港
午前7時半〜10時…選別・各地発送
午前10時〜12時…網のメンテナンスやホッケ漁網設置、網の修理など天候に合わせて業務
12時〜午後1時…昼休憩
午後1時〜5時…午前中と同じ流れ
午後5時…終業

Q 転職して良かったと思うのはどんなところですか?

中辻さん 中辻漁業部/利尻町 中辻 清貴 さん

利尻昆布は季節に合わせた仕事なので、忙しい時はかなり忙しいけど、そうでないときは休みを取れます。具体的には、1月から3月半ば、5月、10月、11月頭はオフのような時期が結構あります。
会社員として働いていた時には毎日決まった時間に出社して…という生活をしていたので、働き方が大きく変わり、時間が取れるようになりました。
休日は、地域との交流の時間を取ったり、子どもや家族との時間に充てています。

森 貴紀 さん 有限会社マルホン小西漁業/寿都町 森 貴紀 さん

自分がやりたいと思えることをやれているのでとても充実しているし、頑張れば頑張っただけ自分の収入になるので頑張れます。
日曜日がお休みで、町外に出て夫婦で買い物などをしています。

まとめ

今回は、利尻町で養殖昆布漁を継いだ中辻さん、寿都町で獲る漁業に勤しむ森さんの2組にお話を聞きました。 2組とも、漁師という仕事に強いやりがいを感じ楽しみながら、地域の方々との交流にも力を注ぐとても素敵な方々でした。 「北海道で農林漁業に携わってみたい」「話を聞いてみたい」という方は、オンラインイベントに参加してみたり、市町村に相談してみたりと、一歩ずつ夢を具体化してみてはいかがでしょうか? 次回の「北の大地のジョブサロン」、テーマは「林業編」。 開催日時は、1月17日(日)14:00〜です。 ぜひこちらから申し込んでみてくださいね!

第4回

北の大地のジョブサロン 第4回 林業編
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