Domingo編集部
「たるどら」って知っていますか?小樽の老舗菓子店「六美」の名物人気スイーツで、小樽の歴史がつまった小樽産どらやきなんです。小樽にお出かけした時のお土産にもピッタリ。たるどらの魅力と美味しさ、そして秘められた歴史を紹介します。
六美の「たるどら」って何?
たるどらは、手のひらサイズながらコロッとした分厚さがインパクトのあるどらやき。北海道産の小麦粉にハチミツを加えてしっとり焼き上げた皮で、直火で炊き上げた自家製の餡をサンド。餡の中にはお餅が入っているタイプと、お餅と栗の甘露煮が入っているタイプの2種類あります。イメージはおはぎをどらやきの皮で挟んだような感じです。
「たるどら」が美味しすぎるわけ
たるどらの何がよいって、見た目のインパクトもさることながら、自家製の餡がとにかく美味しすぎるんです。
六美の餡は、北海道産の上質な小豆をじっくり炊き上げ、道産の砂糖とともに丁寧に練り上げた逸品。餡作りに使用している小樽の水は、河川の上流に工場などがないのでピュアで口あたりがよいと言われています。
上質な素材と長年守り続けた手間暇かけた製法で作られた六美の餡は、滑らかな舌触りとまろやかな甘さが絶品!この餡のおかげで、たるどらは分厚いながらも歯切れがよくて食べやすく、ほどよい甘さでくどさも感じません。3時のおやつにピッタリですし、ちょっとしたお土産にもオススメです。
小樽はお餅の街だった!?
小樽のグルメといえば寿司をはじめ、あんかけ焼きそばや半身揚げなどが有名で、近年は洋菓子も大人気。でも、小樽はもともとお餅の街であり和菓子の街でもあったのです。ここでちょっとだけ小樽の歴史も紹介します。
小樽は明治時代初期に鉄道が開通したのち、北海道内陸部の石炭の積み出し港になるとともに、北前船(交易船)を通じてさまざまな物資が小樽港経由で北海道各地へと運ばれていきました。その後小樽は長らくの間、北海道の物流と経済の中心都市となり、北海道内の物資と北海道外の物資が港を介して小樽に集まるようになったのです。
重機やトラックなどがない時代、港湾作業は人力頼みなので小樽には港湾労働者がたくさんいました。この方々は、持ち運びに便利で手軽に食べられて腹持ちがいい、ある食事を好んだそうです。
ある食事とは、お餅です。
小樽は物流の要なので、道内から小豆などが集まり、道外から当時栽培できなかったお米や砂糖などが集まります。道内外から集まる食材を活かし、港湾労働者に好まれる食事を提供するため、餅や大福を作るお店が小樽の街中に数多く生まれたと言われています。
※小樽に餅店や和菓子店が多い理由は諸説あります。
そのため、小樽市内には古くから営業している餅店や和菓子店が現在でもちらほら残っています。そのうちの1軒が六美です。
六美は小樽の老舗菓子店
六美は1931年に餅屋として創業してから大福や団子などを販売し、1960年代にどらやきなどの和菓子も本格的に手掛けるようになりました。現在では和菓子とともに洋菓子も製造販売し、長い間地元の方々に愛されています。
たるどらは近年販売されるようになったお菓子ですが、小樽の歴史と六美の伝統を受け継ぎ生まれたご当地スイーツ。だからこそ、自家製の餡の中には求肥ではなくお餅を使っているのです。ちなみに栗の甘露煮も自家製です。
小樽へ行ったら絶対買うべし!
たるどらは、JR小樽駅から10分程度歩いた住宅街の一角にある六美の店舗のほか、JR小樽駅構内にある駅ナカ店舗「タルシェ」でも少量ですが販売しています。 小樽へお出かけしたら、ぜひ一度たるどらを!
あわせてチェック!
ライタープロフィール
トラベルクリエイター 川島 暢華
神奈川県出身。北海道全179市町村を旅して北国の魅力と魔力にとりつかれ、2009年に北海道へ移住。それ以来、主に旅行や地域活性に関するメディアの取材撮影と記事や映像の制作、企画編集などを手掛ける。マイミッションは「北海道ファンを増やす」こと。