Domingo編集部
Domingoが北海道のまちと1ヶ月間コラボしてお届けする企画、第2弾となる今回は「芽室町(めむろちょう)」に密着!
まちの楽しみ方や、とっておきの特産品に関する情報を4週に渡ってお届けしています。
ここ芽室町は、「十勝の畑作4品」と言われる、小麦、てん菜、ばれいしょ、豆類の一大産地。
町の総面積の約41%を畑耕地が占め、食糧自給率は1200%ともいわれる芽室町。
農家一戸あたりの耕地面積は35.1haと大規模!東京ドーム約7.5個分の面積の畑を1軒の農家さんが管理しているということ……驚きの数字です。
3週目となる今週は、そんな日本の食の台所である芽室町で「つくる人と食べる人の距離を縮める取り組み」を行う方々に注目し、前後編でお届け!
前編となる今回は、生産者として「お客さんに野菜を直接届けたい」と熱い想いを持って活動する『なまら十勝野』をご紹介します。
肥沃な十勝平野で育んだ、なまら美味しい野菜を全国の皆さんに届けたい
『なまら十勝野』は、広大な十勝平野の13軒の農家で結成、現在は18軒の農家で組織された、農家集団。
“とても”という意味の北海道弁「なまら」と、十勝平野の「十勝」、野菜の「野」を組み合わせて『なまら十勝野』と名付けられ、「肥沃な十勝平野で育んだ、とっても美味しい野菜を全国の皆さんに届けたい」という想いが込められています。
「十勝の畑作4品」といわれる小麦、てん菜、ばれいしょ、豆類などのほか、ユリ根やパプリカ、トマト、長芋、にんにくなど様々な野菜作りにチャレンジしています。
「安心・安全・美味しい」を当たり前基準とした上で、未来に繋がる農業、つまり、生業となる農業そのものを次世代に繋いでいくことをミッションとし、いい畑、いい野菜、関わる人すべてが実験になれるいい環境づくりを進めています。
熱い想いを持った18軒の生産者
なまら十勝野は、十勝で農業を未来につないでいこう、おいしい野菜を届けよう、という熱い想いを持った、18軒の農家で組織されています。
皆さんの自慢の野菜は、肉厚で大きなパプリカ、旨味・コクのある枝豆、甘くてジューシーなスイートコーン、優しい甘さとほくほく食感のゆり根、甘みと酸味がベストバランスな中玉トマト、まろやかな辛味と上品な香りの山わさび、アクが少なく生で食べられるごぼう、深みと甘みがある雪室越冬じゃがいもなど、一度食べるとその味が忘れられない、こだわりの野菜を作っています。
そんな『なまら十勝野』のメンバー高道さんにお話をお聞きしました。
『なまら十勝野』、設立のきっかけ
「元々は、農業の先行きってかなり不安定だよね、先祖代々続いてきた農地や農業を守るにはどうやっていったらいいだろうって考えて。農業を生業として一生ご飯食べていきたいから、食べてくれる人に『なまら十勝野』を選んでもらって直接繋がりたいと思ったんです。」
TPP(環太平洋パートナーシップ協定)参加によって、海外の商品が安く販売されて日本の商品の価格が相対的に高くなると、十勝の農業もかなり大きな影響を受け続けられなくなってしまう。そんな状況のなかでも、これまで繋がれてきた農業のバトンを次世代につなぐ方法を考えたと言います。
「『なまら十勝野』の野菜が欲しい!と選んで買ってくれる人たちがいれば、自分たちも、未来の世代も、生業として農業を続けられる。そんな持続可能な農業を行うため、『なまら十勝野』を株式会社として組織化し、お客さんにおいしい野菜を届ける販売手段の選択肢を増やすことなどに力を入れて取り組んでいます。」
例えば、芽室町内のセブンイレブンで、野菜を生産者さん自ら直接販売する「なまら十勝野マルシェ」や、
『なまら十勝野』オンラインショップでの販売も行なっています。
『なまら十勝野』オンラインショップ
「天候などの影響によってどうしても出てきてしまう欠品も、仲間と一緒にやっているとそれぞれ生育状況も違うので安定的に供給できるんです。会社として取り組むから大きなロットで出荷でき、信頼関係もできやすく、スーパーなどでも『なまら十勝野』の棚を作ってもらって販売させてもらっています。」と高道さん。
イトーヨーカドー帯広店やマックスバリュには「なまら十勝野コーナー」が設けられていたり、またオイシックスなどの食材宅配サービスでも、取り扱いがあるのだそう。
また、芽室の旬な野菜を24節気ごとに町内の飲食店に届け、提供する「めむろ野菜ヌーボー」という取り組みも行なっています。とびきりおいしい旬の野菜を、料理のプロフェッショナルがアレンジする。芽室町は、そんな贅沢な楽しみ方ができるまちなのです。
実践と研究を繰り返し、「めちゃくちゃうまい!」と自信を持って言える野菜を作る
「『なまら十勝野』の野菜はめちゃくちゃうまい!と思って作っているし、売っています。」
高道農場の自慢の野菜のひとつは、トマト。甘さと酸味のバランスが抜群な中玉トマトと、甘みが強く細長い形をしたアイコという品種のトマトを作っています。
「これまでトマト作ってきて、『この味だ!』という理想の味があって。一度作れたあの味を目指しているけれど、『ああ、今年はそこまでいってないな』と思うことがあるんです。『何でだべな。あの味に近づけるにはどうしたらいいんだろう。』と毎年研究しながら作っています。」
理想に到達しなかった時、「これでいいや」ではなく、研究と実践を重ねて美味しさを追求する。そんなたゆまぬ努力の成果が、『なまら十勝野』の野菜の美味しさなのです。
その高道農場で作っているのは、十勝の畑作4品のなかの、小麦、馬鈴薯、小豆などの豆類。そのほか、枝豆、さやいんげん、トマト、長芋、かぼちゃ、にんにく、キャベツ、スイートコーンなどを多くの野菜を作っています。
取材時(7月上旬)はにんにくの時期。「フレッシュにんにく」といって、乾燥させる前のみずみずしく香り高いこの時期限定のにんにくを収穫してくれました。
ホイル焼きや揚げ物などにして食べるとホクホクで、いつも食べているものよりもさっぱりした味わいで食べやすく、香りづけだけではなく野菜として楽しむことができるすごくおいしいにんにくでした。
高道さんが特におすすめする『なまら十勝野』の野菜は、『超熟キタアカリ』。
収穫してから2年間もの間、熟成に熟成を重ねたじゃがいもです。熟成する段階でいものなかの「澱粉」が「糖」に変化し、すごく甘みがあってしっとりとしたじゃがいもになるのです。
Domingo編集部も取材後すぐに10kg注文して、シチューやベイクドポテト、肉じゃが、お味噌汁などいろんな料理に活用しているのですが、「これ本当にじゃがいもなのか!」というくらい甘みがあって、しっとりおいしいじゃがいも。煮崩れもしにくいので煮込み料理にも最適ですよ。
是非みなさんも試してみてくださいね!
『なまら十勝野』オンラインショップ
高道さんの「農家」という仕事への想い
「私は農家の3代目で、小さい時から自然と農業好きだな、やりたいなと思っていましたね。親父を手伝うのも楽しくて好きだったし、乗り物も大好きでした。うちの親父は、小さい頃から乗り物乗せてくれたんですよね。昔は家畜も飼っていたので、最初はショベルを使って牛の敷き藁をすくい上げる作業をまかせてもらったり、大きくなったらトラクターにも乗せてもらえたり!」
学校から帰ってきたらすぐに仕事の手伝いをするのが毎日の日課。車好きだった高道さんは、ミニカーではなく本物の乗り物を動かすことができるのがとても楽しかったそう。手伝いに力を注いだ分、力を抜いていた部分もあったそうで……
「手伝いが楽しくて手伝いばっかりしていて、勉強は本当にしていなかったですね。ある日、学校から帰ってランドセル置いてすぐ親父のうしろ付いて歩いてたら、『お前勉強しれ!』って逆に怒られたことがあって……『あれ?今日手伝ったらダメなんだ?』ってびっくりしたことを覚えています(笑)」
物事を始めて動かしたり、形にしていく上では、勉強ができることより、気持ちがこもったつながりを作っていくことが不可欠。
お話を聞かせてもらって「高道さんと一緒に何かやってみたい!」と思わせてくれる、熱い想いと素敵な笑顔の持ち主でした!
まとめ
いかがでしたか?
十勝の広大な大地で育った野菜たちには、研究と実践が繰り返された努力と、これまで受け継がれてきた十勝の豊かな農業を持続させたいという熱い想いが込められていることがわかりました。
Domingo編集部は、お話を聞いてから『なまら十勝野』さんの野菜をオンラインで購入したり、スーパーでも北海道産の野菜を購入するなど野菜の見方が変わりました。
さて、次の記事では、また違う角度から「つくる人と食べる人の距離を縮める取り組み」を行う方を紹介します!
また来週は芽室町の「新たな特産品」のご紹介とプレゼントキャンペーンの開催も!!
毎週更新しますので、忘れずにチェックしてみてくださいね。