列車旅に欠かせない食文化「駅そば」が北海道で少なくなったのはなぜ?|Domingo

列車旅に欠かせない食文化「駅そば」が北海道で少なくなったのはなぜ?

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北海道の駅そばが減った「3つの理由」

JR音威子府駅の駅そば

全国的に有名だったJR音威子府駅の駅そばは、真っ黒い色をしたそばが特徴(2017年頃)

昔は駅そばが各地にあったのに、一体なぜ昨今お店が少なくなってしまったのでしょうか。さまざまな理由があると思われますが、大きく以下の3つが考えられます。

1.夜行列車がなくなった

青森行夜行列車

JR札幌駅で出発待ちの青森行夜行列車(2015年頃)

昔はJR札幌駅から道内外各地へ夜行列車が多数走っていました。長旅に備え、駅でかけそばや天ぷらそばをかきこみ、夜食の駅弁やお酒、つまみなどを買い込んで列車に乗るという光景をよく見かけました。しかし、今は北海道内に夜行列車は走っておらず、そのような光景を見ることも無くなってしまいました。

2.コンビニなど別業態の競合が増えた

特急列車

昨今は特急列車に乗る前、先にコンビニなどで買い物して乗り込むのが一般的?

夜行列車がなくなったとはいえ、JR札幌駅から道内各地へ向かう特急列車は現在もたくさん走っています。みなさんが特急列車に乗る前は、コンビニなどで飲み物や食事を買い込みませんか?

昭和時代はコンビニなどが少なかったので、駅そばや駅弁、車内販売の利用が一般的でした。平成時代以降はコンビニをはじめ様々な業態の店が増え、車内販売自体も無くなったので、列車に乗る前に買い込んでおくのが当たり前になりました。そうすると、駅そばの出番はかなり減りそうですよね……。

3.長時間停車の列車がなくなった&列車自体がなくなった

JR音威子府駅構内にあった駅そば

かつてJR音威子府駅構内にあった駅そば店(2017年頃)

駅そばが有名だったJR音威子府駅は、宗谷本線と1989年に廃止された天北線の接続駅で鉄道の要衝だったため、長時間停車する列車や始発・終着の列車が複数ありました。乗換客や長時間停車の列車の乗客が多かったことから、その需要に応える形で古くはホームにそば店がありました。天北線が廃止になった後も長らく駅待合室に移転して営業をしていましたが、2021年に店主が亡くなったことから、残念ながら閉店してしまいました。

2010年代に店主が存命の時に伺ったお話によると、その時もう既に来客は鉄道利用者よりもドライブ途中に駅へ訪れる人のほうが圧倒的に多かったそう。その理由は「路線が廃止になり、列車の本数が年々減り、長時間停車する列車が少なくなったからだ」と語っていました。

駅そばは列車や旅に欠かせない食文化!

JR札幌駅_天ぷらそば

JR札幌駅ホームの駅そばで人気ナンバー2の「天ぷらそば」(画像提供:札幌駅立売商会)

駅そば店が減りつつある現状ですが、JR札幌駅のホームにある駅そば店では新たな試行錯誤が繰り返されています。券売機を導入し、昨今増え続けている外国人観光客のために英語表記のメニューに見本写真をつけ、券売機の番号を押して注文できるようになりました。さらに、新作メニューも取り入れ、北海道ならではのニシンそばや、軽食需要に応えるために鶏ザンギ、たこ焼き、焼き鳥などのホットスナックもスタート。

短時間で安くて温かい食事を手軽に食べられる立ち食いそばは、古くから続く列車旅の食の醍醐味でもあります。JR札幌駅ホームのお店自体、ここだけでは収支が厳しいことから、駅弁や仕出し料理などを経営されていますが、「駅そばの文化を継承するために」と駅ホームのお店で営業を続けているそうです。

みなさん、JR札幌駅からJR新千歳空港へ行く時など予定より10分前にホームへ上がれば、かけそば位ササっと食べられますよ。列車や旅に欠かせない貴重な食文化がこれからも残っていくかは、私たち次第かもしれません。

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ライタープロフィール

トラベルクリエイター 川島 暢華

神奈川県出身。北海道全179市町村を旅して北国の魅力と魔力にとりつかれ、2009年に北海道へ移住。それ以来、主に旅行や地域活性に関するメディアの取材撮影と記事や映像の制作、企画編集などを手掛ける。マイミッションは「北海道ファンを増やす」こと。

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