Domingo編集部
今回お話をお聞きしたのは、2週目に引き続き、南幌町の農家で農猿のメンバーの城地 真吾(じょうち・しんご)さん。農猿の活動や、南幌町自慢のお米を使った商品開発についてお話をお伺いしました。
目次
1. 行くぜ南幌、楽しめ野菜!!南幌町の若者たちが結成したチーム『農猿(のうえん)』
2. 故郷南幌町を、とことん楽しむ祭『野祭(やさい)』
3. 軽トラが畑に?!ユニークな農業体験で南幌町の愉しい思い出作り
4. ゆめぴりかがドーナツやホットケーキに!甘みと旨みが抜群に高いゆめぴりか米粉
5. 南幌町に限らず、北海道のいろんな地域の人たちに『野祭』や南幌町を楽しんで欲しい
行くぜ南幌、楽しめ野菜!!南幌町の若者たちが結成したチーム『農猿(のうえん)』
農猿(のうえん)は、北海道南幌町で暮らす農家を中心に、役場職員、塾講師など様々な立場の20~30代の若者で結成されたチームです。
南幌町で育つ子どもたちに「農業ってかっこいい」「農業って愉しい」と農業の魅力を感じてもらうことをミッションとして掲げ、夏に南幌町内で開催するお祭り『野祭(やさい)』を中心に農業体験や加工商品の開発など新しいことにチャレンジしています。
農猿は結成されてから6年目。
「ちっちゃい頃から柔道を教えてくれていた南幌町職員の先生に、『まちで何かおもしろいことできないか』と話をもらって。よく集まって飲んでる仲間たちに相談したら、農協の青年部や南幌町の青年団、役場、農協とか色々ある管轄の垣根を超えた自由な団体で活動したいよねという話で、なんかやってみようということで農猿が立ち上がったんですよね」
そんな農猿が仕掛けるのは、南幌町をとことん楽しく、おいしく、おもしろくする活動ばかり。農猿の活動に迫ってみましょう。
故郷南幌町を、とことん楽しむ祭『野祭(やさい)』
2016年、農猿が結成されて初めての活動は『野祭(やさい)』というお祭りでした。南幌町で生産されたピュアホワイトやトマトなど、なかなか町内では出回らない一級品野菜の大還元販売を行うほか、最新トラクターの展示会やトラクターの試乗体験、トラクター綱引きなど、子どもから大人まで、農業を色々な角度から楽しめるプログラムが盛りだくさんのお祭りです。
野祭は2016年からの4年間に渡って開催され、お客さんの数は1回目は500人ほど、2年目からは倍々に増えていき、4年目の来場者は4,000人ほどにも上りました。4年目に来場者アンケートをとってみると、遠軽から来ているお客さんがいたことが判明したのだとか。
そんな、町内からも町外からも愛される野祭が生まれたきっかけはなんだったのでしょうか?
「僕らが小さい頃『なんぽろ米米まつり』っていうお祭りがあったんです。賞金をかけて田んぼの上に渡した細い板の上を自転車で渡る『泥んこサイクルレース』など面白いプログラムがあって、たくさんの人が集まるすごく愉しいお祭だったんですよね。そういう愉しい祭りってまちにあったほうがいいよね、一級品の野菜を食べてもらったり農家の魅力を知ってもらいたいよね、って話をしながら『野祭』っていうお祭りを立ち上げました」
初めは若手の農家8人で結成した農猿でしたが、2年、3年と活動を重ねていると「私もやりたい」「僕もやりたい」と役場職員や塾講師、ほかの農家も加わってくれるように。農業の魅力、まちの魅力を伝えたいという志をもった仲間たちが集まって、まちに面白い動きを生み出しています。
コロナ禍の2020年、2021年は、対象を町内のみに絞り野菜のドライブスルー販売を行うなど規模を縮小して開催。2022年はどんな風に開催されるのか楽しみです!
軽トラが畑に?!ユニークな農業体験で南幌町の愉しい思い出作り
農猿の活動は野祭の開催のみにとどまりません。農業体験を通して南幌の食を学んでもらう『食育』にも取り組んでいます。
ある時、「コロナ禍で保育園の活動が減ってしまったから、なにかできないか」と札幌の保育園に子どもを通わせている知り合いの方から相談があったのだそう。
「南幌町に子ども達は行けないから保育園にきて欲しいっていう相談を受けて。じゃあ、収穫間際のとうもろこしとキャベツを畑ごと軽トラに乗せて、畑ごと現地まで行こう!ということで『出張軽トラ畑』というのをやりました。軽トラ畑のとうもろこしを一人一本もいでもらったり、キャベツもちゃんと包丁でザクッと切って収穫体験してもらう企画で、大好評でした」
こちらの動画は、その時の様子。なんといっても子どもたちの笑顔が最高です!
『出張軽トラ畑』をきっかけに南幌町内からも声がかかり、町内の保育園や幼稚園の園児たちを実際の畑に招き、とうもろこしやミニトマト、キャベツなどの収穫体験や、トラクターに乗ってもらったりなど時期や年齢に合わせた体験プログラムを実施。
また、南幌高校の生徒たちの農業体験も3~4年前から毎年受け入れているそう。5月には田植え、6月にはとうもろこしの種まき、7月には草取りや管理作業、8月には収穫、物産展への出店など、1年を通して農業を体験してもらうプログラムとなっています。
農業の仕事の他に、保育園や高校などいろいろなところで多様な活動をしている農猿。どんな思いで食育の活動を行っているのでしょうか。
「南幌町にこんなことやってる大人いたな、あのお祭り面白かったよね、南幌町楽しかったなって思い出してくれたらいいなあと思ってます。人って、つながりつながりで行動するじゃないですか。今の子どもたちが大人になって、同じように南幌町を盛り上げるような活動をするかもしれない。そういうきっかけになってくれればいいなあと思って、色んな方面に顔だしたりしてますね。
あとみなさんそうだと思うんですけど、野菜って売られている姿しか知らないじゃないですか。どんな風に育てられて、収穫されて、っていうのを知って欲しいと思っているので、食育には力を入れてます」
農業のプロである農猿のメンバーのみなさんから直接収穫方法を教えてもらい、自分たちの手で畑から収穫、そしてもぎたてを食べる。そんな体験をすることで、農業の面白さや野菜への感謝や興味が湧いてきます。
ゆめぴりかがドーナツやホットケーキに!甘みと旨みが抜群に高いゆめぴりか米粉
稲作が盛んな南幌町では、北海道ブランド米の「ゆめぴりか」や「ななつぼし」、「おぼろづき」など多様な品種のお米が生産されています。
「私たちが情熱をそそいで育てたお米。さらにもっと楽しんでいただく方法はないか」との思いから生まれたのが、ゆめぴりかの『米粉』でした。
「シメパフェをプロデュースしたパティシエの一人で『幸せのレシピ スイート』の沖シェフが、この米粉をすごく評価してくれたんです。ゆめぴりかの品種特性もあって、この米粉は米の風味・甘みが抜群に高いという話をしていただいて。そんな話からゆめぴりか米粉100%のドーナツを共同開発しました。油で揚げていないから、お子様のおやつとしても安心なんですよ」
コロナ禍が始まった頃、ドーナツに続く商品としてゆめぴりかの米粉を使ったホットケーキミックスの開発に沖シェフとともに取り組みます。主原料である米粉、てん菜糖、バターミルクパウダーは北海道産と、こだわりの1品です。
「お米を取り扱っているとグルテンフリーの話や小麦アレルギーの子が結構いるという話を聞くことも多いんです。南幌高校の生徒にお土産としてホットケーキミックスを渡した時に、ひとり『小麦アレルギーだから普段はホットケーキが食べられないけどこれなら食べられる』とすごく喜んでくれた子がいて。本当に作ってよかったなとこちらもすごく嬉しくなりました。小麦アレルギーに悩んでいる方にも、ぜひ食べて欲しいですね」
米粉は小麦と違ってグルテンがないので、焼くときは小さめのフライパンで焼いたり、型を使うのがおすすめなんだとか。小麦粉のホットケーキミックスでは味わえないお米の優しい甘みと、ふわふわとした食感がクセになるホットケーキです!
南幌町に限らず、北海道のいろんな地域の人たちに『野祭』や南幌町を楽しんで欲しい
今回紹介した野祭や食育、商品開発の他にも、様々な人を巻き込み、巻き込まれながら多岐にわたって活動を行っている農猿。今後の野望を、城地さんにお伺いしました。
「基本のイベントや活動は維持しながら、もっと楽しくするには?と考えて実践してを繰り返して常にバージョンアップの最中です。南幌町の『野祭』っていうイベントに、道内各地の人たちが来てくれたらうれしいですね!やっぱ常に常にチャレンジというか、僕も子どもがいるので挑戦する背中を見せていきたいなと思います。
あと各地で町おこしをしている若手の人たちの団体って色々あると思うので、そういう人たちとどんどん交流して、南幌町に限らず『若者みんなでタッグ組んでやろうぜ』ってなったらいいなと思います。壁とか管轄とかとっぱらって、愉しいことはみんなで共有してやっていきたい。
だから野望は『全道制覇』ですかね?笑」
面白いことをたくさん仕掛ける農猿の皆さん。今後の活動も楽しみです!
■農猿
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