Domingo編集部
夫婦のお店は、やがて“みんなのお店”に。
シアトルのカフェコミュニティを理想として作られたSPROUTですが、オープンしてからはどのように育っていったのでしょうか。
「SPROUTの看板にも“OUTDOOR ESPRESSO”と書いているように、最初は夫婦でアウトドア好きが集まるカフェにしようという思いでオープンしました。しかし徐々にスタッフの数が増え、アウトドアにまったく興味がない人も働くようになったんですね。そのときに、なにも無理やり自分たちの型にはめることはないんじゃないか?と思ったんです」
気づけばスタッフのそれぞれが、自分のコミュニティを持っていることに気づいたといいます。たとえば音楽に造詣が深いスタッフが店頭に立つ日は音楽、スノーボードが好きなスタッフが店頭に立つ日はスノーボード仲間が集まり、日替わりでコミュニティが生まれるのです。
また峠ヶさんにお子さんが生まれてからは、近所のお母さんたちなどが集まるカフェとしても賑わいを見せています。
「最初は夫婦ふたりのお店だったのが、だんだんとみんなのお店になっていったという実感があります。僕がいままで触れてこなかった世界を、彼らによってたくさん見せてもらいました」
シアトルのカフェ文化をベースにしつつも、いい感じにニセコナイズされていったSPROUTという場所の変化を面白く見つめていましたが、峠ヶさんは同時に「個性豊かな人たちが、自分の持ち味を活かせる場所が少ない」とも感じていました。
そんななか、現SPROUTとつながっていたもう一棟の建物を、老朽化により取り壊すことに。物件購入時、この建物も峠ヶさんの所有となっていたことから「この場所で何かできないだろうか?」と考え始めます。
「単発のイベントやマルシェなどは簡単にできるけれど、継続的に何かを発信できる場所を作れたら、もっと面白いことができるんじゃないかって思ったんですよね」